楽天がECサイト「楽天市場」で、一定額以上を購入すると送料を無料にする方針を打ち出し、出店者に「送料込み」の価格表記を求めている件で、公正取引委員会は2月28日、楽天に対する緊急停止命令を出すよう、東京地裁に申し立てた。独占禁止法に違反(優越的地位の濫用)する疑いがあるとしている。
楽天は2019年末、楽天市場で20年3月18日以降、注文額が税込3980円以上(宛先が沖縄、離島などの場合を除く)であれば、送料を無料にすると出店者に通達。楽天側は新規顧客の獲得、売り上げの増加を見込んでいるが、出品者側からは送料分を自己負担する必要があり、利益を損ねる──といった指摘が出ていた。
これを受け、公取委は2月10日、独禁法違反の疑いで楽天本社を立ち入り検査した。一方、楽天の三木谷浩史社長は13日の決算会見で、送料無料という表現を「送料込み」に改めると説明。出店者が送料分を加味して価格を決められるため、優越的地位の濫用には当たらないと主張し、予定通り導入する考えを示していた。
公取委は28日、楽天のこうした施策が出店者の公正・自由な競争を妨げる恐れがあるとして、独占禁止法に基づく緊急停止命令を、東京地裁に申し立てた。
緊急停止命令は、独禁法に違反する疑いがある行為を一時的に止めさせる命令。公取委が命じる排除措置命令などに比べて緊急性が高く、公取委の申し立てに応じ、裁判所が判断して命令を出す。
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