ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >

JASRAC対音楽教室、地裁判決は順当かナンセンスか 「一般人の常識に即した裁判」の論点を整理する(3/3 ページ)

» 2020年03月04日 07時00分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

「一般人の常識」とは?

 有識者からこうした疑念が出ているものの、JASRACが開いた記者会見で、代理人である田中豊弁護士は裁判所の判断を評価し、開口一番「著作権法の観点からだけでなく、一般人の常識にも合致するものである」とコメントしていた。

 確かに、前述の音楽プロデューサーの意見を鑑みると、楽曲の権利者は、自分の楽曲を音楽教室に勝手に教材として使われ、利益を上げられるのは避けたいはずだ。そして、JASRACは彼らの権利を守るために著作権使用料の徴収を試み、裁判所はそれを認めた。著作権法の観点からは、今回の判決は妥当な判断にも思える。

 一方で、有識者だけでなくネットでも、この裁判所の判断に疑問を呈する声は多い。特にネットでは、「営利事業としての音楽レッスンであっても、“教育”に使う音楽に使用料の支払いが課されるのはおかしい」と考える人が多いようだ。

 田中弁護士の言う「一般人の常識」とは何なのだろうか。同氏の心中までは分からないが、少なくとも今回の判決は、著作権法の在り方と、一般市民の考え方にズレがあることを浮き彫りにしたといえる。再審ではどのような判決が言い渡されるのか、今後の動向を注視したい。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.