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AIだけで曲を作ったら”人っぽい部分”が見えてきた 作詞作曲、歌、仕上げも全部AI(3/5 ページ)

» 2020年03月06日 07時00分 公開
[くろ州ITmedia]

ボーカル担当「NEUTRINO」 息継ぎが必要なプログラム

 これで楽曲自体は出来上がった。ボーカル担当は冒頭でも紹介した「NEUTRINO」(ニュートリノ)。これは楽譜を渡すだけで人間のように歌ってくれるフリーウェアだ。要素技術として、機械学習の手法の一つであるディープニューラルネットワーク(DNN)が使われている。

 類似の歌声合成システムとしては、これまでにも名古屋工業大学の「Sinsy」(シンシー)や、歌声合成ベンチャーのテクノスピーチ(名古屋市)が開発に携わった「CeVIO」(チェビオ)などがある。これらは要素技術に統計モデルを採用している。これらも個人的にはよく使っているが、今回は何もしなくても“しゃくり上げ”やビブラートといった歌唱表現ができるNEUTRINOを採用した。

 ORPHEUSで作った楽譜データをそのままNEUTRINOに入力すると数分で音声が生成される。ただし、楽譜データをそのまま入力すると“息切れ”が発生しやすい。何十秒も続く長いフレーズを歌わせると、だんだん声が鈍くなり、肺活量が足りていないような苦しい歌になってしまうのだ。

 機械なのに息継ぎが必要とは面白い。ニコニコ動画では「人間に近付いた代償」とも言われている。長いフレーズを息継ぎなしで歌うといった“人間離れした”曲は、VOCALOIDの方が圧倒的に得意だ。

 息切れを直すには息継ぎ箇所を示すブレス記号を楽譜に書き込めばいいのだが、単純作業のため、AIのために下働きをしている感覚に陥った。

photo ブレス記号(アポストロフィー)を付けた楽譜

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