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AIだけで曲を作ったら”人っぽい部分”が見えてきた 作詞作曲、歌、仕上げも全部AI(4/5 ページ)

» 2020年03月06日 07時00分 公開
[くろ州ITmedia]

ミックス担当「Nectar」「Neutron」

 これでピアノやボーカルといった音声素材が集まった。ここからは、それぞれの音声素材を聞きやすいように加工して混ぜ合わせ、全体のバランスを整えるミックス作業に入る。担当するのは米iZotopeのエフェクター「Nectar」(ネクター)と「Neutron」(ニュートロン)だ。

 これらは、さまざまなジャンルの楽曲データを学習させたAIが、音声素材を分析して適切なエフェクトの設定を提案するシステム。ボタンを数回クリックするだけで、ボーカル専門のNectarと楽器担当のNeutronが各音声素材の音を整える。全体のバランスを整える作業もNeutronがやってくれた。

 音声素材はそのまま使っても聴けないことはないが、大き過ぎる音や耳障りな高音を抑えたり、魅力的な倍音を目立たせるなど、楽曲として完成させるにはさまざまな工夫が必要だ。初心者には難しい作業なので、ワンクリックでAIがやってくれるのは単純に楽。

 AIに任せきりだと自分のテクニックが成長しないのが難点だが、AIの提案を見てミックスを学ぶ人もいるという。AIに育てられた音声エンジニアがいつか登場するかもしれない。

ミックスまで完成した状態

マスタリング担当「Ozone」

 ミックスが終われば楽曲制作はほぼ終わりだ。後は、配信サイトや各種再生デバイスで聞きやすいように楽曲を最終調整する作業「マスタリング」のみ。これも初心者には何が正解なのかすら分からないほど難易度の高い作業だ。

 担当するのはiZotopeの「Ozone」(オゾン)。これも、さまざまな曲データを学習したAIが適切なエフェクト設定を提案してくれるため、今回は一切手を加えず、提案をそのまま受け入れた。

photo Ozoneが提案してきた設定

 ただし、常に適切な提案をしてくれるわけではない。「今風の音に仕上げてほしい」「音圧は控えめで」など、あらかじめ適切な指示を出さないと、明らかに間違った濁りのある音に仕上げてくることもある。人間と同じく、要望を正しく伝えなければ当然要望通りの結果は返ってこないのだ。

 こうして出来上がったのが「Please turn ture Sky」だ。

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