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イベント中止で取材機会が激減、オンライン発表会には不満も 新型コロナがフリーランスに与えた影響(2/3 ページ)

» 2020年03月11日 16時15分 公開
[太田百合子ITmedia]

 ただしイベントは完全に中止されるのではなく、動画配信などオンラインで開催されることも多い。実際にMWCに合わせてプレスカンファレンスを予定していたソニー、中国Huawei、米Qualcomm、中国OPPOなども、オンラインで代表者のプレゼンテーションを配信する形で発表会を行っている。国内でも、3月は新年度に向けた新製品や新サービスの発表イベントが例年相次ぐのだが、こちらもその多くが中止、あるいはオンラインでの動画配信に切り替わった。

 モバイル業界だと、3月3日の楽天モバイルのMNOサービス発表会や、5日に開催されたソフトバンクの5Gに関する発表会が、無観客でプレゼンをライブ中継するスタイルで実施された。いずれも専用フォームへの入力や電話会議の仕組みを使った質疑応答が行われたが、やはり中継は一方通行で普段の取材のようにはいかない。

楽天の三木谷浩史会長兼社長(3月3日に開催されたオンライン発表会)

 まず写真が撮れないため、ビジュアルはライブ中継のスクリーンショットに頼らざるを得ない。発表会では質疑応答だけでなく、その後の囲み取材や担当者との立ち話でより詳しい情報を得られることも多いのだが、その機会もない。何よりリアルの会場では用意されているデモもないので、発表になった製品やサービスをその場ですぐに試せないのがつらい。

 幸い個別のインタビュー取材や打ち合わせは今のところ平常運転だが、相手がテレワークになればそれもオンラインになることがある。過去何度かテレワーク中の担当者とビデオ会議をしたことがあるが、相手の自宅の通信環境が良くない場合はかなりストレスを感じる。テレワーカーの通信環境をどう整えるのかも、テレワークを実施する企業の課題といえるだろう。

 現状はこれまでの取材のストックがあるので、原稿をアウトプットできているが、このまま取材機会が減っていけばいずれはそれも枯渇する。政府は「生活福祉資金貸付制度」を拡大して、新型コロナウイルスの影響で収入が減ったフリーランスに最大10万円を無利子で貸し付ける方針などを打ち出したが、正直なところ大した助けにはならない。フリーランスへの支援策については、今も議論が続いている状況だ。

 唯一の良いニュースは確定申告の受付が4月16日まで延長されたことだが、筆者のような個人事業主は源泉徴収という形で売り上げに対して先に税金を納めているので、基本的には還付申告になる。還付金をもらうなら早いほうがいいので、これも大したメリットとはいえない。

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