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イベント中止で取材機会が激減、オンライン発表会には不満も 新型コロナがフリーランスに与えた影響(1/3 ページ)

» 2020年03月11日 16時15分 公開
[太田百合子ITmedia]

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた政府の方針もあり、時差通勤やテレワークを採用する企業が増えている。全国の学校が臨時休校になったことも重なり、SNSでは突然の在宅ワークに戸惑う人の声が日々あふれている状況だ。

(画像はイメージ)

イベントは中止になったが、やむなくバルセロナへ

 筆者はフリーランスライターとして20年以上のキャリアを持つ、いわば在宅ワークのベテランである。自宅で働くのがデフォルトなので、普段と全く違う働き方を強いられているテレワーカーと比べれば、今回の件がワークスタイルに与える影響は小さい。一方で、フリーランスライターの仕事は完全歩合性なので、取材に行って記事を書き、メディアに記事が掲載されなければ収入が得られない。ワークスタイルには影響がなくても、イベントの中止などで肝心の取材の機会が減っているのは由々しき事態である。

 例えば、毎年2月はモバイル業界イベント「MWC」の取材のため、開催地であるスペイン・バルセロナを訪れている。今年も当然取材予定だったが、新型コロナウイルスの世界的な広がりを受けて企業の出展取りやめが相次ぎ、開催12日前に正式に中止が発表された。

 こういうとき、メディアに所属している記者なら会社がキャンセル代を負担してくれるが、われわれフリーランスは取材の機会と原稿を書いて得るはずだった収入を失う上に、キャンセル代も自己負担だ。変更や返金の効かない安いチケットを押さえることが多いので、キャンセルすれば航空券、宿代などはほとんど返金されず、大赤字だ。MWCは開催されないと分かっていたが、飛行機代などを無駄にしたくなかったので、筆者は予定通りバルセロナに向かい、現地で他の取材原稿を執筆したりしていた。

イベントが開催されるはずだったMWCの会場。現地で筆者が撮影

 同様のイベント中止は世界中で起こっていて、IT関連の米国開催のイベントだけでも、3月13日〜22日まで予定されていた「SXSW 2020」のほか、米Adobe Systemsの年次イベント「Adobe Summit」や、5月開催の米Facebookの年次開発者会議「F8」、米Googleの開発者会議「Google I/O」などのオフラインイベントが中止になっている。筆者が予定していたものだけでも、既に2つの海外出張がなくなった。

オンライン発表会だけでは不十分な理由

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