研究者たちの予想に反し、小惑星リュウグウは隙間だらけの物質でできた天体だった──宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月17日、小惑星探査機「はやぶさ2」によるリュウグウの探査活動の研究成果を発表した。
リュウグウのような炭素質の小惑星は、46億年前の太陽系形成時の情報を保存している“化石”のようなものと考えられている。研究チームは今回、赤外線カメラでリュウグウを1自転分撮影したサーモグラフィーから熱の分布などを解析することで、リュウグウの地形や地質構造を調べた。
データを解析すると、地球の石や炭素質の隕石と異なり、リュウグウが「極めてスカスカ」で凸凹が激しい構造をしていることが分かった。
こうした観測結果から、研究チームはリュウグウの形成シナリオを次のように推測している。
(1)ふわふわのダストが集まって成長
(2)微惑星(ダストから成る小さな惑星)が形成
(3)さらに微惑星が成長、スカスカな母天体が形成(中心部は圧縮されて密度が増大していた可能性あり)
(4)天体衝突で母天体が破壊。母天体の外側の物質が拡散し、中心部も露出
(5)再度集積し、密度のやや高い岩も表面に露出。自転が速いために赤道付近がふくらんだ形状に
(6)その後、何らかの理由で自転が遅くなり、軌道も変化。現在のリュウグウに
研究チームは、「隙間だらけの小惑星リュウグウは、原始太陽系でふわふわのダストから密度の高い天体が形成するその過程を具現しているのかもしれない」と考察している。
研究成果は、科学論文誌「Nature」に3月16日(英国時間)付で掲載された。
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