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つい撮りたくなる不思議なコンデジ、富士フイルム「X100V」荻窪圭のデジカメレビュープラス(1/5 ページ)

» 2020年03月21日 07時00分 公開
[荻窪圭ITmedia]
光学ファインダーが付いた四角いカメラという伝統をデジタル化した「X100V」。ちょっとずしっとくるところもカメラっぽい

 富士フイルム「Xシリーズ」の原点といえる初代「X100」が発売されたのが2011年。9年前である。あのときは「FinePix X100」という「FinePixシリーズのハイエンドモデル」な位置付けだったのだから懐かしい。

 レンズは最初から23mm(35mm判換算で35mm相当)のF2。光学ファインダー搭載。操作系は撮影モードダイヤルを持たず、絞りとシャッタースピードと露出補正にそれぞれ専用のダイヤルを持つ、マニアックだけどある意味シンプルなもの(ISO感度ダイヤルはのちに採用された)。慣れちゃうとこのシンプルさがたまらない。

 昔ながらのカメラのテイストを注入したデジタルカメラなのでボディもそれほど小さくないいのだが、その操作感と写りの良さにファンも多く、当初のコンセプトをずっと維持したまま、ブレずにほぼ2年おきにリニューアルし、今回5代目の「X100V」となったのである。

左手前がX100V、右手奥が2代目の「X100S」。細かな違いはあるが基本デザインはまったく変わってない

 相変わらず、これを持って歩くといろんなものをつい撮ってしまう魔力があるカメラで実によいのである。

X100Vの3つの進化

 セッティングを決めたらさっと構えてさっと撮る。

 メカっぽい「カメラを使ってる感&所有してる感」、光学ファインダー、レンズ一体型+APS-Cサイズセンサーの画質の良さなどが相まって、スナップ用のカメラとしてすごく魅力的だ。

 そして、X100Vでは前モデルの「X100F」からかなり進化した。

 1つめはレンズ。今回、5代目にしてレンズをリニューアル。スペックこそ23mm F2と同じだが、比べて見ると、ディテールの描写力が上がり、特に周辺部がよくなったのだ。

 以前、撮影したX100Fと等倍表示して並べて見るとよく分かる。被写体は同じガスタンクだが、X100Fは2017年、X100Vは2020年と撮影時期は違うが、周辺部の描写力がかなり改善されている。

左がX100F 右がX100V
恒例のガスタンク。前モデルよりちょっとアンダー目に出る感じはある(23mm 1/680秒 F8 ISO160)

 描写力が上がると、デジタルテレコン(要するにデジタルズームなんだが)のクオリティーも上がるのでよい。

デジタルテレコンで50mm相当。その上の75mm相当もある(50mm相当 1/2700秒 F5.6 ISO320)

 2つめの進化点は操作系。

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