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AI導入の秘訣に「ID野球」あり 名監督に学ぶAIマネージャーの理想像マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!(4/5 ページ)

» 2020年03月25日 07時00分 公開

勝てるチームになるまで3年かかる

 優れた育成手腕を誇る野村監督でも、成果を出すまでは数年かかりました。この点を球団運営側に理解してもらう必要があり、ドラフトやトレード獲得する選手などの方針決定にも密なコミュニケーションが必要です。

 企業でもAI導入ですぐに成果を出せることはまれで、最初は苦労や失敗を重ねるのも当然です。もしもAIマネージャーがクビを言い渡されたら、野村監督のように「南海電車に飛び込んで死ぬ」と覚悟を決めれば撤回されるでしょう。

 しかしながら、球団も会社もいつまでも成果を出せないチームを容認できるでしょうか。周囲からのやっかみや誹謗(ひぼう)中傷も出てきます。どうすればいいのでしょうか。

「ボヤキ」という広報活動 

 そこで必要になってくるのが、野村監督の特徴ともいえる「ボヤキ」でしょう。これは試合後にマスコミを集めて、不平不満や愚痴をこぼすことです。しかしネガティブなだけではなく、直接選手や球団に言っては角が立つことを間接的に伝えたり、勝っても負けても自分が矢面に立って自分の言葉で説明し、責務を果たすためです。常にマスコミに向けて記事のネタを提供すればチームや選手が注目されるので、話題性や集客効果も狙えます。

 企業ではマスコミ向け発表としてプレスリリースやイベント登壇といった社外向けのものをイメージしますが、社内に向けた情報発信も重要です。

 ただでさえIT部門は「何をやっているのか分からない部門」であり、AIとなればより誤解されやすくなります。

 だからこそ現場、他部門など社内に向けた情報発信は重要であり、周囲の理解を得ることが大切です。自分たちの取り組みを理解してもらわなければ、協力してもらう際に1から説明しなければなりません。

 ただし、ボヤキは広報活動であり、部下に対して明確な意思を伝える手段ではありません。必要なのはミーティングであり、野村監督は試合前のミーティングを非常に重視していました。

伝えるための「ミーティング」

 野村監督のミーティングは他球団にはない長さと内容でした。これは頭脳を使った野球を繰り返し伝えて、選手の意識に浸透させるためです。

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