そして勝つために選手に求めたのは「変化すること」であり「限界を感じてからがプロの戦い」「技術的な限界はあれど挑戦の限界はない」として、体力や技術に頼らない頭脳で勝負するチーム文化を醸成させました。
企業でも、社員が限界を感じることがあります。ここで壁を越えるには、繰り返しミーティングで伝える必要があるでしょう。動きが早いIT業界でさまざまな知識や技術を身に付けるのは大変ですが、その上で個々人がどのように取り組むべきかを考える意識付けのためにミーティングが必要です。
社内文化を変えるには、上に立つ立場のAIマネージャーが、自分の組織から新たな文化を作らなければいけません。自部門、他部門の現場から経営層まで意識を浸透させることで、初めてデータ分析文化が会社に根付きます。
企業のAI導入活用において、野村監督から学ぶことが重要だとお分かりでしょう。大切なのは、変化することです。
企業でAIという新しいものを導入するには、従来のやり方から変わらなければいけません。野村監督は常日頃「言い訳は進化の敵」「先入観は悪、固定観念は罪」と、選手たちに説いていました。自身もそれを実践して、ヤクルト監督時代は選手を褒めなかったものの、後年の楽天監督時代は「少し褒める」ようになりました。
ヤクルト監督時代は選手との関係性が「父親と息子」という年齢差だったのに対して、楽天監督時代は「祖父と孫」という年齢差に変わった面もあります(就任当時70歳)。このような柔軟性は、古い体質が残る野球界からすれば、並大抵のことではありません。
野村監督は「自分は野球だけが取りえ」「野球を引いたら何も残らない」と公言していましたが、ビジネスでも大切な教えを残してくれました。
「後世のために財を残すは下、事業を残すは中、人を残すは上である」という言葉に表れているように、野村監督は教え子として古田敦也さんや稲葉篤紀さん、宮本慎也さんなど、立派な指導者を残しています。天国でも野球を楽しんでいる野村監督にボヤかれないように、われわれもIT業界に人を残したいものです。
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