過去の成功体験と前例主義にとらわれた組織は、遅かれ早かれ衰退する運命にあります。
よくあるのは、カリスマ創業者によって隆盛を極めた企業が時代に取り残されて失墜してしまうパターンです。中国や韓国など新興メーカーに顧客を奪われ、優秀な人材は流出し、売上とシェアが低下して業績不振に――近年では液晶、半導体、携帯電話など、日本の製造業が諸外国にシェアを奪われています。
それでも現場で働く若手中堅社員は、会社を変えようと動いています。現状を打破するきっかけとしてAI(人工知能)が注目されていますが、ときには理解のない経営陣や組織の壁に対峙(たいじ)することになります。
閉塞(へいそく)感のある現状を変えるにはどうすればいいのでしょうか。実は、プロレス業界も似たようなつらい時代を乗り越えた経験があります。人気が低迷した「暗黒期」を乗り越えてV字回復を達成したプロレス業界に学べることは多くあるのではないか――前回はお笑い芸人の出川哲朗さんにAI導入のヒントを探しましたが、今回はプロレス業界に学んでみたいと思います。
自称“AI(人工知能)ベンチャーで働きながら、情報発信するマスクマン”こと、マスクド・アナライズさんが、AIをめぐる現状について、たっぷりの愛情とちょっぴり刺激的な毒を織り交ぜてお伝えします。Twitter:@maskedanl
(編集:ITmedia村上)
最近はテレビでもプロレスラーやプロレス特集を見る機会が増えましたが、プロレス業界にはかつて長い低迷期がありました。
製造業と同様に、2004年ごろからプロレス人気が衰退した裏にも、カリスマ創業者による介入、不明瞭な経営体制、主力選手やスタッフの流出などがあります。そして過去の成功体験から脱却できず、総合格闘技にファンを奪われて暗黒期に突入したのです。
もちろん製造業はかつてのプロレスほど落ち込んではいませんが、近い将来どうなるか分かりません。いまこそプロレスに学びましょう。
本連載や私が登壇するセミナーを通してよく受ける相談で、「現状を打破するためにAIを導入したいが、上層部や組織の壁があり難しい」というものがあります。
会社の将来に危機感を抱く人の中には、現状を打破する手段として「AI」に期待する人もいます。これは会社への「愛」があるからこそ、抱ける感情です。本記事では、いまのプロレス界をリードし、「愛してまーす」と叫ぶ“あの男”から「AI」(愛)について学びたいと思います。低迷したプロレス業界を変えて奇跡のV字回復を成し遂げ、再びブームを巻き起こした男、それこそが「100年に1人の逸材」といわれる新日本プロレスの棚橋弘至(たなはしひろし)選手です。
棚橋選手は、低迷していたプロレス業界を復権させた立役者。もちろんプロレスブームの再燃は棚橋選手1人の功績ではないですが、プロレスの現場を変え、試合を変え、新日本プロレスリングという会社を変えてプロレス人気を復活させた彼の軌跡をたどることは、本気で「会社を変えたい」と考えている読者の参考になるはずです。本記事では、大手製造業に勤め、工場で働く会社員を例に考えてみたいと思います。
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