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「100年に1人の逸材」が変える「100年に1度のAI革命」マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!(4/4 ページ)

» 2019年03月29日 07時00分 公開
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 ベテラン選手が大量離脱したことで、若手の棚橋選手に注目が集まった面もあるでしょう。常に前向きな棚橋選手でも長い低迷期には、米国進出も考えたそうです。それでも新日本プロレスを辞めなかったのは、若手時代に交際中の女性に刺されるスキャンダルを起こしても、退団処分とせずに助けてくれた会社への恩返しだったかもしれません。

 所属団体である新日本プロレスの運営体制が変わったことも追い風になりました。2005年にユークスの子会社になったときは、経理の透明化や外注費の削減、コンプライアンスの徹底で、不透明なお金の流れは一掃されました。

 12年には現ブシロードが全株式を取得。広告宣伝費を大量投下してプロレス復活を世間に向けてアピールできたのも、V字回復に大きく貢献したでしょう。それでも棚橋選手がいなければ、現在のプロレス復活はありえませんでした。「100年に1人の逸材」として、他のレスラー、会社、ファン、マスコミを引っ張ってきました。

 コンプライアンスを順守する大手製造業では、幅広い人材、組織としての団結力をもって改善への取り組みなどを行えます。AIの必要性を分析して、社内で継続的にアピールすれば、きっと誰かが耳を傾けて協力してくれます。停滞した現状を変えようとする人には、自然と仲間が集まってくるでしょう。

プロレス われわれが取り組むべきこと

まとめ:ストロングスタイルの呪縛とものづくりの幻想

 「100年に1人の逸材」が変えたプロレスに対して、製造業は「100年に1度の産業革命」といわれるAIの登場に選択を迫られています。 AIはものづくりを根本から変えるかもしれません。これが日本の製造業を壊滅させる存在となるのか、逆に既存の製造業を劇的に進化させて、ジャパン・アズ・ナンバーワンの再来になるのか――そんな大きな転換点にいても、過去の成功体験に縛られている企業が多いように思えます。

 これは「ストロングスタイル」を打ち立てたアントニオ猪木さんと、かつての新日本プロレスの関係とも重なります。棚橋選手に対する反発は、「ストロングスタイル」を愛する昔からのファンでした。経団連(日本経済団体連合会)や政府、年配世代の風潮を見ても、「ニッポンのものづくり」という過去の幻想にとらわれて、現実から目を逸らしているのではないかと思うことがあります。

 「ストロングスタイル」も「ものづくり」も、未来永劫輝き続けるものではありません。棚橋選手は、新日本プロレスの道場に掲げられたアントニオ猪木さんのパネルを外したことで知られています(正確には道場を管理する小林邦昭氏が外しました)が、その伝統は形や表現を変えていまでも受け継がれています。

 一方の製造業では、「ものづくり」「職人技」「暗黙知」「勘と経験」「すり合わせ」「現場力」などが声高に叫ばれます。AIという新しい技術を受け入れ、それらを新しい形に昇華していくときではないでしょうか。

 棚橋選手は特別なスポーツエリートではありませんが、プロレスを復活させました。あなたの会社にも特別優秀なスーパーマンはいないかもしれませんが、大きな組織には継続力・団結力・改善力があります。

 その変革を担うのがこの記事を読んでいるあなたであり、もし行動するかどうかで迷っているのなら、棚橋選手のように一歩踏み出してほしいのです。多くの方々が携わる製造業であれば「100年に1人の逸材」が何人もいるでしょう。

 近い将来、ビジネスでのAI活用が当たり前になる時代が迫ってきていますが、そのとき日本の製造業はどうなるのでしょうか。V字回復を遂げて新たなステージに進んだプロレス業界のようになれるのか。

 棚橋選手の決めぜりふである「愛してまーす」はプロレス愛、ファンへの愛、新日本プロレスリングという会社への愛でもあります。これはものづくりと現場と会社を愛する人も同じでしょう。

 会社とものづくりを変えるには、愛(AI)が必要です。読者が「100年に1人の逸材」である棚橋選手となり、「100年に1度の産業革命」であるAIによって、ものづくりを変えてほしい。そして叫んでほしい。「AI(愛)してまーす」と!

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