香川県で、子どものネット・ゲーム使用を制限する「ネット・ゲーム依存症対策条例」が4月1日に始まった。条例には「ゲームは平日1日60分まで」「午後10時以降はゲーム禁止」など、具体的な時間制限の他、ゲーム開発事業者や通信事業者にも協力を求める内容が盛り込まれている。
同条例は、18歳未満の子どものネット・ゲーム依存症を防ぐ目的の下で制定された全国初の条例。県や保護者、関連事業者の責務を明記したもので、罰則はない。条例制定の背景には、世界保健機関(WHO)が生活に支障を来たすほどゲームに依存してしまう「ゲーム障害」を疾病と認定したことも挙げられている。
香川県議会が実施したパブリックコメントでは、県内から2600件以上の意見が集まった。通常、香川県のパブリックコメントで集まる意見は平均して3件程度で、Twitter上では数の多さを疑問視する声も上がっている。
パブリックコメントの意見をまとめた資料は、最後の条例検討会の直前まで検討委員にも公開されず、内容に対する討論は非公開で30分程度行われたにとどまる。参加議員からは「(パブリックコメントの)多くの貴重な意見を反映できていない」との意見もある。
集まった意見の全件開示を求めた要望書を出した議員もいたが、実際に公開されたのは採決の後になり、「閲覧できるのは検討委員のみ」「意見書の撮影や書き写し、内容について口外することは控えるよう求める」「閲覧時には県議会事務局の職員が立ち会う」など制限があったという。
WHOは29日(現地時間)、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止のため、人々にゲームプレイを推奨し、外出自粛や感染予防を促す「#PlayApartTogether」キャンペーンを始めた。
ゲーム関連事業者はWHOと連携して、限定イベントの開催や特別アイテムの提供、ゲーム内でCOVID-19から身を守るという内容のメッセージを出すようにするなど、ゲームを活用した感染予防策を講じる。
香川県はネット・ゲーム依存症への対策としてゲームなどの使用を制限する条例を作ったが、制定背景の一つとなったWHOは反対に感染症対策としてゲームを推奨する形になった。施行初日からCOVID-19という逆風の中に立たされている。
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