秋田県大館市教育委員会が、子どものインターネット・ゲーム依存を防ぐための条例制定に向けた議論を始めたと、2月27日に分かった。ゲームの使用時間を1日60分に制限するという内容も検討している。香川県のネット・ゲーム依存症対策条例制定に向けた動きが議論のきっかけの一つになったという。
大館市教育委員会は2月、「ネット・ゲーム依存症対策条例案(仮)」のたたき台となる試案をまとめた。1日のゲーム時間の制限や、深夜のインターネット使用などを制限する内容を盛り込み、条例案制作に取り掛かる。6月に大館市の定例議会に提出する見込み。
大館市教育委員会では以前から、インターネットやゲームへの依存が学力低下や睡眠障害などを引き起こす面があるとして課題と捉えていたという。その中で、1月に香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例案」がTwitterなどで話題になったことから議論が始まった。
ITmedia NEWSが条例案の内容について問い合わせたところ、大館市教育委員会は「議論が始まったばかりで、素案前のたたき台をまとめた段階。専門家などの意見も聞きながら、1日60分という制限時間が適切か、そもそも条例にすべきかを含め議論する。議論の方向性次第で、内容は変わる可能性がある」と説明した。
議論のきっかけとなった香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例案」には、「ゲームは平日1日60分まで」「午後10時以降はゲーム禁止」などの具体的な制限が盛り込まれており、物議を醸している。当初は2月17日の定例議会に提案し、条例化する予定だったが、県民などを対象にしたパブリックコメントの整理が遅れているため提案を見送った。ITmedia NEWSが香川県議会事務局に問い合わせたところ「いつ提案するかは未定」と答えた。
2020年に入ってから、ゲーム依存症対策について自治体レベルでの議論が活発化している。大阪府大阪市では1月、スマートフォンやゲームへの依存が不登校の原因になるとして、松井一郎市長が教育委員会に対し条例でのルール化など実効性のある対策を検討するよう指示した。
厚生労働省も2月にゲーム依存症対策を協議する「ゲーム依存症対策関係者連絡会議」を開き、中央省庁や医療団体、ゲーム関連団体とゲーム依存症の現状や課題について議論。依存症に関する正しい知識の啓発などを進めるとしている。
一方、ゲーム業界からは反発の声も上がっている。国際ゲーム開発者協会(IGDA)の日本支部は、香川県の条例案にパブリックコメントを提出し、「専門的知見の調査および専門家の意見を聴取したものではなく検討が不十分」と指摘。適切な調査と十分な議論を求めている。
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