文部科学省が、小中学生のいる家庭にモバイルルーターを貸し出す施策を検討していることが4月3日、ITmedia NEWSの取材で分かった。新型コロナウイルス感染症の流行に伴う休校措置などを受け、子どもたちが家にいてもオンラインで教育が受けられるような環境を整えるのが目的で、来週中にも決定する。
文科省は「新型コロナウイルス感染症の影響で、学校が始まっても外出できない学生や、(インターネットを活用した)遠隔授業を行う学校も出てきている」とし、モバイルルーターの貸し出しを含めた対策を検討している。
時事通信社などの報道では、貸与は低所得世帯が対象であり、通信費用は支給しないとされていたが、文部科学省は「所得による制限や通信費用については現在検討中」だとしている。
各地では春休み期間の終了に伴い、登校を再開させる動きもあるが、東京都は1日、都立学校の臨時休校期間を5月6日まで延長すると発表。他にも授業再開時期を後ろ倒す自治体も出ている。
休校期間中には正式な授業を行わないため、子どもの教育を受ける権利が制限されている状況にある。インターネットを通じた授業の遠隔授業の実施など、代替案もあるが、制度や設備の面で課題があり、すぐに実行に移すのが難しい。
東京都教育委員会によると、遠隔授業はあくまでも課外授業(補習)という位置付けで、現状では正式な授業を遠隔では行えないという。新型コロナウイルス感染症に伴う休校措置を受けて、文科省は遠隔授業を正式な授業として認定するかどうかを含めた検討も行っている。
生徒が遠隔授業を受けるための機器を持っていないことも課題だという。文部科学省は2019年末から、1人1台の学習者用PCやクラウド活用を前提とした高速ネットワーク環境などを整備する「GIGAスクール構想」を打ち出しているが、現状、児童生徒が各家庭にPCを持ち帰って活用するには至っていない。
通信環境の整備については、すでにNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯キャリア3社が、総務省の要請を受けて対応を打ち出している。
3社はスマートフォンでのデータ通信において、月間のデータ使用量の上限を超えて通信を行ったユーザーに対し、通信速度が低下しないよう無償で通信制限を解除する。KDDIとソフトバンクは、これまで有償としていたスマートフォン経由でPCをインターネットにつなぐ「テザリング」も無償化する。
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