新型コロナウイルスの感染者数が増える中、小池百合子東京都知事が会見で「ロックダウン」(都市封鎖)という言葉を使いました。そのセンセーショナルな言葉から、ロックダウンのとき都内にいたら動けなくなるのではないか、と感じた方も多いでしょう。今回はロックダウンとなったときにどのような事態が起きるのか考えてみます。
ここでは鉄道に関するちょっとした豆知識をお伝えすることで、何となく知識が増えたなとか、みんなが知らないことが自慢できたりとか、まあそんなことを目指してお届けしていく、テツの与太話です(作倉瑞歩)
ロックダウンとなったとき、日本の鉄道はどのようになるのでしょうか。結論から言うと「動き続ける」です。先日、新型インフルエンザが発生したときの鉄道の動きについて紹介しましたが、各鉄道事業者は、先日改正された「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(特措法)に沿って対策を立てており、それに基づいて行動することになります。
根拠となる法律は、特措法第九条第一項です。条文には「指定公共機関又は指定地方公共機関は、それぞれ政府行動計画又は都道府県行動計画に基づき、その業務に関し、新型インフルエンザ等対策に関する業務計画(業務計画)を作成するものとする」とあり、「指定公共機関または指定地方公共機関」に当たるのが各鉄道事業者です。
特措法についてはメディアの報道も多いのでご存じの方も多いと思いますが、特措法の第三十二条に基づく緊急事態宣言が行われたとしても、同じく第四十五条の「生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないことその他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力を要請することができる」という文面からも分かる通り「強制」ではなく「要請」となっており、強権を発動して市民生活に介入することはできません。
鉄道は公共性の高い事業のため、仮に政府から全ての路線を止めることを要請された場合はそれに従うことが想定されますが、医療機関や生産者、食料品店で働く人など、市民の生死に関わる職場に務めている人を運ぶ必要もあるため、全てが止まることはないでしょう。
これは諸外国を見ても同様です。ロックダウンが行われているパリでは、地下鉄を含む鉄道の運行本数を3割〜5割程度減らしているほか、運行時間も午前6時から午後10時までに制限しています。
感染爆発が起きたニューヨークでも鉄道は止まっていません。ただしニューヨーク地下鉄(MTA)では病院関係や交通、発電などのインフラ、ホテル、食品加工、通信、農業といった「Essential Services」(国民の生活に不可欠な事業)に従事する人以外は乗ることができない路線を設けています。
MTAのWebサイトにはこう書かれています。
「Stay home if your travel is not absolutely necessary. You’ll be helping protect yourself, your family and other New Yorkers.」(本当に必要でないのなら出かけないこと。それはあなた自身、家族、そしてほかのニューヨーカーを守ることになります)
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