香川県が4月1日に施行した「ネット・ゲーム依存症対策条例」を巡り、香川県議会が条例に対するパブリックコメントの全意見を地元メディアのKSB瀬戸内海放送に開示していたことが13日、分かった。KSBに渡された資料にはパブリックコメントの送信元とみられるIPアドレスが記載されており、Twitter上では「IPアドレス」「192.168.7.21」などがトレンド入りするなど話題を集めている。
同条例は、香川県に住む18歳未満の子どもをネット・ゲーム依存症から守る目的として制定したもの。「ゲームは平日60分まで」など具体的な時間制限が定められており、物議を醸していた。1月末から2月初めに行ったパブリックコメントでは、香川県としては異例の2600人以上から意見が寄せられた。
香川県議会はこれまで、パブリックコメントで寄せられた賛成反対の意見それぞれの件数と、内容をまとめた概要のみを一般公開していたが、KSBから香川県議会の情報公開条例に基づいた請求を受け、全件公開を行った。
香川県議会からKSBに送られた資料はA4用紙で4186枚分に上る。個人情報は黒塗りにされているが、送信元とみられるIPアドレスや投稿時間はそのまま記載されていた。1つのIPアドレスから短時間に集中して送られたものも多かったという。そのIPアドレス「192.168.7.21」の値から、Twitter上では「同じ建物内から複数のパブリックコメントが送られたのではないか」という指摘が上がっている。
この「192.168.7.21」は、一つの組織内でPCを個別に識別するプライベートIPアドレスだと推測できる。Twitter上では香川県議会の内部から送られたパブリックコメントではないかとの声も上がっているが、プライベートIPアドレスが表示される理由は複数考えられるため、同じ建物内から送られた意見だと現時点で断定はできない。
ネット・ゲーム依存症対策条例に対するパブリックコメントを巡っては、2600人以上から意見が寄せられた点や、一般的には公表しない意見の賛否を公開した点など、通常とは異なる対応がとられている。パブリックコメントの結果をまとめた資料は参加議員にも検討会の直前まで渡されないなど、議論の透明性が疑問視されている。
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