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多様な触覚を再現する立体ディスプレイ 脱着式ピンベースのMIT「TRANS-DOCK」Innovative Tech

» 2020年05月01日 18時29分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 マサチューセッツ工科大(MIT)の研究チームが開発した「TRANS-DOCK」は、ピンが並んだ、ピンベースの脱着式立体ディスプレイだ。バーチャルオブジェクトの触覚生成など、多様なインタラクションを可能にする。

photo TRANS-DOCKの外観

 これまでのピンベース立体ディスプレイは、おおむね垂直に作動するピン構成で、ディスプレイサイズ、解像度、ピン配列なども固定もしくは制限されていた。この課題に挑戦するため、TRANS-DOCKでは交換できるトランスデューサーモジュールを用いてさまざまな立体ディスプレイを構築可能なシステムを提案する。

photo 曲がる動作のトランスデューサー
photo 高解像度トランスデューサー

 ユーザーはA、B、C、D……の中から好きな形状トランスデューサーを本体に合体させ、再現したい触覚にあわせた立体ディスプレイにカスタマイズする。

photo TRANS-DOCKの概要図。トランスデューサーA、B、C、D……を選択的に本体と合体できる

 例えば、線形(線のように細長い形)ピンを用いた指先サイズの高解像トランスデューサー、解像度が可変するトランスデューサー、グネグネと曲る動きのトランスデューサー、モグラ叩きトランスデューサー、線形の代わりに注射器と風船を取り付け膨らませた柔らかい触覚を生成するトランスデューサーなど、多様だ。

photo a:高解像度トランスデューサー、b:解像度可変トランスデューサー、c:バルーンアレイトランスデューサー、d:曲るピン動作のトランスデューサー、e:可動平面トランスデューサー、f:ストーリーテリングとアニメーション用のトランスデューサー、g:データの立体化、h:もぐらたたきトランスデューサー

 このように、ピン間隔、レンダリングエリア、ピン配置など、多様な構成を選択的に変更でき、また直線運動だけでなく、曲げ、膨張、回転などの多様な動きもレンダリング可能と、汎用性の高いピンベース立体ディスプレイであることを実証した。

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