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新型コロナ禍で増えた“悪質出品者”が、Amazonからいなくならない理由(2/2 ページ)

» 2020年05月01日 15時12分 公開
[本田雅一ITmedia]
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ある業者の手口

 ある業者は、洗えるマスクで商品部門別の売上トップになった直後、商品の写真を奇妙なキャラクターのアイコンに置き換え、別の商品に軸足を移した。この時のアイコンに書かれた中国語は「まぁ、そういうことだね」という意味だ。

商品部門別の売上トップになった直後、商品の写真を奇妙なキャラクターのアイコンに置き換えた。中国語の意味は「まぁ、そういうことだね」

 この業者が次に狙いを定めたのは、布マスクを作るための材料だった。布マスクの自作というトレンドを敏感に察知し、ガーゼや耳掛けゴムが不足し始めるとそれらを割高な値段で売り始めた。

 この時も、商品の品質やサポート対応の悪さなどが低評価のコメントで入り始めると、洗えるマスクの時と同様のアイコンに写真をすり替え、主力商材を別のものに切り替えた。この時のアイコンには中国語で「恥知らずめ!ペッ!」と書かれていた。

「恥知らずめ!ペッ!」と中国語で書かれている

 次に狙いを定めたのは、なんでもマスクにできるというクリップ付きのストラップとガーゼだった。ガーゼに関しては執筆時点でも販売を継続している。

 Amazonでこの業者の情報を確認すると、多数の購入者から「商品が届かない」「商品は遅れて届いたが汚れていて使い物にならなかった」と否定的なコメントが書かれている。これを先に見ていれば購入を思いとどまった人もいたかもしれない。しかし、購入前は目的の商品のレビューはチェックしても、同じ業者がどんな商品を販売しているか、その業者の評価などまで確認する消費者は少ないのだろう。

中国からの発送品に注意、出品者の評価をチェック

 こうした問題が表面化しにくいのは、AmazonはAmazonマーケットプレイスで販売されている商品に関して、トラブル時の返金補償を行っているからだ。つまり、金銭面での損失はAmazonが被っていることになる。

 しかし失った時間は戻ってこない。ある一人暮らしの女性は、仕事で忙しくマスクを買いに行く時間がなかったため、割高な使い捨てマスクを3月下旬にAmazonマーケットプレイスで注文。すぐに発送したとの連絡が来たが、4月中旬になっても届かなかった。返金は受けられたものの、その期間はマスクが入手できず、使い捨てマスクを何日も使い回すといった運用でしのいだという。

3月下旬に発送したはずの商品がいまだに届かない

 Amazonは、大きな予算をかけてAIと人員の両方で不正出品対策を行っている。Amazon自身のブランド毀損にもなりかねないだけに、できる対策は可能な限り実行しているはずだ。

 しかし、疑わしい出品者が今も大量の商品を販売しているのが実情。ここで注目した出品者のIDもまだ凍結されていない。Amazon自身が出品者の監視を十分に行えないのであれば、消費者側は自分で細心の注意を払うほかない。とりわけ発送元が海外の出品者である場合は、その評価を確認することを勧めたい。

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