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キワモノだったオンライン葬儀に需要の兆し 新型コロナで変わる“故人との別れ”(1/3 ページ)

» 2020年05月02日 07時00分 公開
[古田雄介ITmedia]

 新型コロナウイルスは、大切な人が亡くなったときのお別れの仕方にも影響を与えている。端的なのは葬儀のライブ中継サービスへの関心の高まりだ。少し前まで、この手のサービスはキワモノのように扱われることもあった。弔いの現場では何が起きているのだろう――?

葬儀のライブ中継サービス、3週間で28件の相談

 東広島市の葬儀社・アイフィットさいきグループは、3月に新型コロナ対策として葬儀の中継サービス「YouTube LIVE で安心してスマ葬」を発表した。葬儀会場に最大4台のカメラを設置し、実際に行われている葬儀の様子を限定公開の「YouTube Live」で配信するというものだ。

 ライブ中継での参列を希望する人は喪家にその旨を伝えてURLを送ってもらう。葬儀が実施される日時にURLにアクセスすると、スマートフォンやPCの画面に会場の様子が表示される。あとは手を合わせたり焼香したりと、おのおののスタイルで故人と向き合えばいい。

「YouTube LIVE で安心してスマ葬」。会場にいるスタッフがスイッチャーを使い、配信映像をオペレーションする

 同社は4月からこのサービスを提供しており、4月20日時点ですでに8件実施した。相談件数は3倍以上の28件に上る。

 ライブ配信で葬儀を利用した人たちからは「きちんと参列した気持ちになれました」「感染予防策として然るべき対応かなと思います」などの感想が届いているという。喪家の人からは「来てもらうのも悪いし、かといって参列を断れるほどの関係でもない方に対して義理が果たせた。ホッとしました」といった声も聞かれたそうだ。

 利用した人たちから肯定的な感想が多くの寄せられるのは予想できた。けれど、4月に時点で相談や実施件数がこれだけ伸びていることには正直驚いた。

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