ソフトバンクが5月11日に発表した2020年3月期通期(19年4月〜20年3月)の連結決算は、売上高が前年同期比4.4%増の4兆8612億円、営業利益が同11.4%増の9117億円、最終利益が同2.3%増の4731億円と増収増益だった。主力の通信事業(個人・法人)をはじめ、子会社Zホールディングス(HD)が手掛けるヤフー事業など全セグメントで増収を達成した。
セグメント別では、個人向け通信サービスを指す「コンシューマ事業」の売上高は前年同期比0.6%増の2兆6967億円、営業利益が同3.2%増の6473億円。「ソフトバンク」ブランドを中心に通信料金と端末代金を分離したプランを展開した他、格安SIMの「Y!mobile」「LINEモバイル」ブランドの契約者数が増えた影響で平均単価は減少したが、契約数の増加によって増収増益となった。
3月末時点でのスマートフォンの累計契約数は、前年同期比9.3%増の2413万件。スマホ解約率は、年単位では過去最低となる0.7%(同0.1ポイント減)だった。
同社の宮内謙社長は「ヤフーやPayPayなど、自社グループの中枢サービスとうまく連携させながら、マルチブランド戦略を進めた結果だ」と自信を見せた。
個人向け通信サービスやITソリューションを指す「法人事業」の売上高は前年同期比3.0%増の6389億円、営業利益は同9.5%増の836億円。企業でのスマホ契約数が伸びた他、代理販売を担っているクラウドサービス「G Suite」「Office 365」「Microsoft Azure」「Alibaba Cloud」などの売上が好調だった。
4月30日の発表の通り、ヤフー事業を手掛けるZHDの売上高は前年同期比10.3%増の1兆529億円、営業利益は8.4%増の1523億円、最終利益は3.8%増の817億円。19年11月に連結子会社化したZOZOの業績が好調で、増収増益に貢献した。「Yahoo! JAPAN」に掲出する広告などの新規出稿を、ヤフー側がソフトバンクの顧客に提案する施策も奏功した。
21年3月期の通期連結業績予想は、売上高が4兆9000億円(前年同期比0.8%増)、営業利益が9200億円(同0.9%増)、最終利益が4850億円(同2.5%増)と増収増益を見込む。
達成に向けては、3月に始めた商用5Gサービスの展開に注力する他、「SDGs(持続可能な開発目標)の課題解決」をテーマに掲げ、通信やスマートデバイスを駆使して新規事業創出や地方創生を目指す施策に注力する方針だ。
5G基地局の早期整備においては、KDDIと4月に立ち上げた合弁会社「5G JAPAN」の活動などによって、年度末までに全国に約1万局を配備し、22年3月期末には人口カバー率90%となる5万局まで拡大する計画だ。
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