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大きく進化した「Logic Pro X」 GarageBandのLive Loopsと何が違うのか?(3/4 ページ)

» 2020年05月14日 13時13分 公開
[松尾公也ITmedia]

Logic版Live Loopsはさすがによく出来ている

 実際にやってみたが、iOSでやる時と比べると、新規のセルを登録するのがおそろしく簡単だ。左右にLive Loopsと通常トラックを分け、通常トラックではフレーズを弾きっぱなしにする。その適当な範囲(リージョン)をそのままセルにドラッグ&ドロップするだけで、その小節数に合わせたサイクルでループしてくれるようになる。複数のトラックをまとめてLive Loops画面にドラッグすれば、そのトラック数に応じたセルにドロップし、作成できる。

photo 自分のサウンドだけでLive Loopsを構築する作業はとても簡単だ

 OSとしての思想の違いで、こうした操作はmacOSの方が便利だ。一方で、セルやグリッドをトリガーするのはマルチタッチジェスチャーが使えるiOSの方がはるかに使いやすい。Logic Pro XをiPadやiPhoneと併用することで、Apple言うところの「Best of both worlds」、2つの世界のいいとこ取りができるというわけだ。

 macOS Catalinaから、iPadをMacのサブディスプレイに使える「Sidecar」という機能が使えるようになった。同じWi-Fiネットワークにあるか、USB(Lightning)ケーブルで接続されていれば、iPadをMacのセカンダリーディスプレイに使えて、従来Macでは使えないApple Pencilによる操作ができるという便利機能だ。

 Logic Pro Xでは2013年から、iPadを接続してLogicをコントロールできる、「Logic Remote」というアプリを提供している。DAWの世界では専用もしくは汎用のデバイスで「コントロールサーフェス」と呼ばれるものが使われている。ボタンやスライダー、ノブなどで、DAWのさまざまな機能をマウスやキーボードを使わずに操作するためのデバイスだ。グリッド状に物理ボタンを並べた「パッド」などは演奏上は便利でよく使われている。

 Logic Remoteは、iPad(現在ではiPhoneも)があれば、無料でコントロールサーフェスとして使える。iPadではLive Loopsの操作を、iPhoneでは加速度センサーを使ってRemix FXをコントロールするといった併用も可能だ。

 Live LoopsやRemix FXは機能単体で見ればiOS版GarageBandで使えるわけだが、MacのLogic Pro Xをセンターに据えることで、iOS版の良い部分を全て使え、自分自身のサウンド構築も容易になるというわけだ。

 iOS版GarageBandにあって、Logic Pro Xには欠けている、タッチインストゥルメンツ。マルチタッチを生かした、本物の楽器っぽいインタフェースを持った操作も、Logic Remoteを使えばできる。ギターの指板をそのままなぞったユーザーインタフェースでチョーキングも含んだギターソロを弾き、それをMIDIノートとして編集できる。

photo iPadのLogic Remoteでチョーキングしているところ

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