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9m先のスマートフォンを超音波で“攻撃” 人に聞かれずに音声入力もInnovative Tech

» 2020年06月19日 10時39分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 ミシガン州立大学、中国科学院、ネブラスカ大学リンカーン校、セントルイス・ワシントン大学による米中の研究チームが開発した「SurfingAttack」は、机などの固体を介した超音波によって、離れた場所に置かれているスマートフォンなどへ音声入力する伝送法だ。

photo SurfingAttackを用い、テーブルの下に取り付けた超音波トランスデューサーで机を介してデバイスに伝送する様子

 SurfingAttackは、音声コマンドを人には聞こえない周波数帯域に変調し、超音波トランスデューサー(圧電トランスデューサー)を用い、固体を介した振動で信号を送ることで、机の上に置いてあるスマートフォンなどに音声入力する。

 人には聞き取れない周波数を用いるため、スマートフォンの近くにいる人に気が付かれず音声入力できる。そのため、持ち主に知られず音声アシスタントを起動させ、カメラでセルフィー撮影、音量ボリューム調整、電話を発信、2段階認証プロセスを突破しログインなどといった操作を可能にする。

 デバイスが置かれている方向に関係なく機能する。全方向性の約9m先まで操作可能だ。机上に他の物が置かれた雑多な状態であっても、その影響を受けずに標的のデバイスにだけ伝送する。

photo 実験時の様子

 この手法は必要な圧電トランスデューサーを安価に購入できるうえ、テーブル周囲で容易に隠せるため、コンピュータの脆弱性を利用した日常的な非可聴攻撃が可能であることを実証した。

 専用ページでは、実験で制御可能だったスマートフォンの機種が公開されている。iPhone 5、iPhone 5s、iPhone 6 Plus、iPhone X、Pixel、Pixel 2、Pixel 3、Moto G5、Moto Z4、Galaxy S7、Galaxy S9、Mi 5、Mi 8、Mi 8 Lite、Honor View 10と、さまざまな機種に適応する。

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