内閣府、法務省、経済産業省はこのほど、民間企業などが取り交わす契約について、「契約書への押印は特別の決まりがない限り不要」とする見解を発表した。「テレワークを推進するため、不要な押印は省略して別の手段で代替するのが有意義」との見方を示した。
同省庁が6月19日に公開した資料では「押印がなくても文書が成立した経緯が証明できれば偽造ではないと確認できる」――など、押印に関する具体的な例をもとにQ&Aで回答した。
一般的に、民事訴訟で契約書などの文書が証拠として認められるには、文書の作者とされる人物と実際の作者の一致を証明する必要がある。書面に押印がある場合は証明しやすくなることもあるが、民間企業による契約は当事者同士の合意によって成立するため、法的にはもとから文書化や押印は不要。押印がなくても契約の効力は変わらないという。
Q&Aではあらためて、取引の際に送ったメールのアドレスや本文、送受信の記録、本人確認書類、SNSでのやりとり、電子署名などが文書成立の証明として使えるとした。
内閣府らは民間企業のはんこ文化について「テレワークの推進の障害となっていると指摘されている」とし、見直しに向けて自律的な取り組みを促したいとしている。
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