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「はんこ出社をなくしたい」 Dropboxが電子署名との連携に本腰 日本でも「HelloSign」対応へ

» 2020年06月11日 14時26分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 Dropbox Japanは6月11日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、クラウドストレージサービス「Dropbox」と電子署名サービスの連携を強化すると発表した。米Dropboxが2019年に約2億3000万ドル(約251億円)で買収した米HelloSignの電子署名サービスを、今夏にもDropboxと連携させ、日本向けに提供する予定。Dropbox Japanの五十嵐光喜社長は「ビジネスパーソンがはんこを押すために出社し、在宅勤務を中断するケースをなくしたい」と話した。

photo Dropbox Japanの五十嵐光喜社長

 HelloSignとの連携後、ユーザーはDropbox内に保管している稟議書や契約書を社内外に共有し、法的拘束力のある電子署名を担当者に依頼できる。Dropboxユーザーではない外部企業に電子署名を求めることも可能。署名を終えたドキュメントはDropboxに保存されるため、適宜検索・閲覧できる。

 同機能を北米で先行リリースしたところ、Dropbox経由での署名の依頼数が従来比で3倍に増えたという。日本市場でも、新型コロナの関係で対面での接客が難しい不動産会社などから「住居の賃貸契約における重要事項説明書へのサインで、DropboxとHelloSignの連携機能を使いたい」といった問い合わせがあるとしている。

photo HelloSignとの連携機能の概要

市場からの要求にスピーディーに応えられる

 Dropboxは過去にも、米Adobe Systemsの「Adobe Sign」、米DocuSignの「DocuSign」といったパートナー企業の電子署名サービスと連携。Dropboxの拡張機能として提供し、ビジネスパーソンがはんこを押す手間の解消に取り組んできた。

 こうした既存機能とHelloSignの違いについて、Dropbox Japanソリューションアーキテクトの保坂大輔氏は「自社グループの製品なので、市場からの要求にスピーディーに応えられる」とした。

 今後も外部企業の電子署名サービスとの連携は続ける方針で、新たな企業のサービスに対応する可能性もあるという。

管理者向け機能も強化、西日本の顧客獲得にも注力

 Dropbox Japanはこの他、20年中に管理者向け機能を強化し、管理者がコンソール画面から、チームメンバーの利用状況の推移やアクティビティーの種類(アップロード、ダウンロード、編集、プレビュー)などを閲覧し、部下の業務量などを確認できるようにする予定。

photo 管理者向け機能を強化する予定

 データガバナンス(データ管理の統制)向上の観点から、ユーザー企業が過去10年間にDropbox上に保管したファイルの変更履歴を無制限で保存・提供するサービスも年内に投入する予定。「何百万回変更しても、任意の時点の履歴に戻せる」(五十嵐社長)という。

photo データガバナンス強化に向けた新機能も提供する

 20年は法人ユーザーのさらなる獲得に向け、西日本での営業活動も推進する。1月に大阪・梅田に関西オフィスを開設しており、追手門学院大学(大阪府茨木市)が「Dropbox Business」を全学に導入するなど成果が出ているという。五十嵐社長は「大阪に拠点を置いたのは、製造業のお客さんが多いため。ファイルサーバのマイグレーションのニーズなどに迅速に応えたい」とした。

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