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「感染者との接触」警告がきた ドイツ版新型コロナ接触確認アプリで実体験したユーザーに話を聞いた

» 2020年07月06日 11時34分 公開
[Masataka KodukaITmedia]

 日本でのリリースに数日先立ち、6月16日リリースされたドイツの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)接触確認アプリ。6月24日、独シュピーゲル紙は、このアプリがユーザーに対して初めて感染リスク(感染者との接触)警告を行ったことを報じた(ドイツ語記事)。

 記事によると、16日のリリースから24日までに、24人のアプリユーザーが感染を報告したという。これらのユーザーの匿名IDがサーバに送信され、仕様どおり、接触機会のあったアプリユーザーに警告が発せられたのである。

 実際に警告を受けた女性ユーザーの夫がその警告画面キャプチャをTwitterに公開した。

 ドイツの接触確認アプリに関する先日の記事に協力していただいたベルリン在住日本人ミュージシャン、流水彩子さんのアプリも7月3日、感染者との接触機会が1回あったことを検知した。

photo 感染者との接触機会が一度あったこと、感染リスク低を伝えるアプリ画面。2:50更新(画像提供:流水彩子)

流水彩子さん 昨晩このアプリ見たら、リスクなし(Keine Risiko Begegnung)表示が、一回のリスク遭遇(Eine Risiko Begegnung)と変わっているのに気づきました。自宅で、もう寝ようかなと、くつろいでいた時です。周囲に人はおらず、1人でした。

 プッシュ通知はなかったです。仕事柄1日中外にいて、移動も多いので、どこで遭遇したのか、まったく分かりません。直後は少し疑心暗鬼になりましたが、14日以内にすれ違った人たちの1人が、昨日陽性判定を受けアプリでそれを申告したので、リスク通知されたのだと理解しました。このアプリの仕様を理解していないと、もっと疑心暗鬼になったかもしれません。

 こちらの記事によると、過去14日間、感染報告者と10分以下の接触機会があり、感染報告者と8m以上の距離があった場合、リスク低(Niedriges Risiko)として表示されるらしいです。このルールは、アプリ画面ですぐに分かるようにしておいてくれたら、変に怖がらなくてすむのに、と思いました。


 前述したシュピーゲル紙の記事は、最後に「警告メッセージがプライバシーに十分に配慮していること」について詳しく説明している。

 アプリ開発メンバーの1人、Malte Janduda氏はアプリが警告を発する時のシステム挙動について、自身のTwitterアカウントでにて、実際のサーバのデータを開示しつつ説明を行った。警告が行われたとしても、開発者ですら「感染した人がどこにいるのか、誰と接触したのか、誰に通知が表示されているのか」をアプリの仕様通り、知ることはできない。

 日本でも感染リスク通知機能が有効となった。日本とドイツのアプリは基本的に同じ仕様。そして、「監視されているような気がする」あるいは「個人情報が漏洩して、感染者いじめが起きる」とアプリのインストールを拒否する人々も多い。

 しかし、そのシステムのエンジニアですら「感染した人がどこにいるのか、誰と接触したのか、誰に通知が表示されているのか」を把握できないシステムであること。そして、実際に通知を受けた人ですら、「誰が感染しているのか」を把握できないアプリであることを、日本より数日早くリリースされたドイツのシステムが示している。

photo 日本の接触確認通知もそろそろ出てくるだろうか

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