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セキュリティ対策を導入したのに、サイバー攻撃の被害が後を絶たないワケ(2/3 ページ)

» 2020年07月14日 07時00分 公開
[高橋睦美ITmedia]

その場しのぎのツギハギ対策が“穴”になる

 また、IT環境の変化に追随できていないことが原因とみられる見逃しもありました。

 インフラ構成の変更に伴って予期せぬセキュリティホールが生まれていたのに気付かなかったり、メンテナンスや導入前試験のように、一回限りの特例で変更された設定が放置されていたりする企業もあったそうです。

 また、脆弱(ぜいじゃく)性を見つけるたびにシステムを拡張してきた企業では、ネットワークセグメンテーションの設定ミスが生じる例や、同じシステム内部でもセキュリティコントロールや監視の一貫性が保たれず、漏れが出てしまう例もありました。

 意外だと感じたのは、ネットワークトラフィックが増大した結果、セキュリティ機器のリソースが不足し、機能が低下していることに気付かず運用している例があったことです。これは、不正なファイル転送や外部へのデータ流出の見逃しの一因となっていました。

 アプリケーションの追加・変更やクラウドサービスの活用、さらにテレワークの導入によってセキュリティ機器の負荷は高まる一方ですが、想定以上のトラフィックによって機能不全を起こしていないかを確認する必要がありそうです。

 逆に、案の定問題となっているなと感じたのは、SSLインスペクション機能の欠如です。SSL/TLSはWebサイトとユーザーの間の通信を暗号化し、盗聴などの危険から守ってくれますが、企業システムにおける監視という観点からすると悩みの種です。

 サイバー攻撃の中には、SSL通信を逆手に取り、自身の不正行為を隠蔽(いんぺい)するために使う手口もありますが、ファイア・アイの検証でも、SSLインスペクション機能がないと、外部への不正な通信を見逃すケースがあることが判明しました。

 「企業がこれまで何年にもわたって積み上げてきたセキュリティ対策が、トレンドの変化、つまりクラウドの普及をはじめとするネットワーク環境の変化や、攻撃者の最新の手法に対応できなくなり、的外れなものになっている可能性を考える必要がある」と岩間氏は指摘します。

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