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萌えキャラを腐らせたくない 「東北ずん子」運営会社がAI向け学習データを無料公開、その狙いは(3/5 ページ)

» 2020年07月14日 07時00分 公開
[谷井将人ITmedia]

声優の“いい声”で研究者のモチベーションを上げる

 AI開発では大量の学習用データが必要だ。しかし、歌声の分野に関しては、AI開発に適したデータがほとんどないという。ネット上にある歌の多くがピアノやギターをはじめ他の楽器と一緒に鳴っているため、歌声単体のデータを見つけにくい。

 名古屋工業大学や東北大学など、AIによる歌声合成を研究している大学の研究室では、プロやアマチュアの歌手を雇って研究用の歌声を収録する場合もある。

 SSSが公開した東北きりたん歌唱DBと、制作予定の東北イタコ歌唱DBは、アニメや音楽ライブでも活躍している茜屋さんや、木戸衣吹さんなどの女性声優が声を充てている。収録楽曲も茜屋さんなどが参加している声優アイドルユニット「i☆Ris」が歌っている曲を採用した。

photo i☆RisのWebサイト

 SSSの小田社長は「研究者のテンションを上げるために(われわれが)手伝えるのは、いい声を提供すること」と話す。大学に限らず、一般のシステムエンジニアにも歌唱DBを使ってほしいとしており、「うちが(歌唱DBを)公開すると、オープンソースでソフトを作る人も出てくる可能性があって面白い」と、NEUTRINOに続くような研究の広がりに期待を寄せている。

 Twitter上では、一般の歌声合成ソフトファンが、東北きりたんの歌唱DBをきっかけに、類似の機械学習向け歌唱DBを作る流れも出ている。

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