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水で変形、乾くと戻る“形状記憶”布地 米カーネギーメロン大学開発Innovative Tech

» 2020年07月16日 09時29分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 米カーネギーメロン大学の研究チームが開発した「Hydrogel-Textile Composites」は、水に触れると形状が変化する布地だ。

 この布地は、こんにゃくや寒天のように網目構造に水分を保持できる「ハイドロゲル」を、3Dプリンタを使って布上に打ち出して作成する。

photo 布上にハイドロゲルを印刷する

 作成した布地は電源を必要とせず、水を吹きかけると丸まったりと、水分に反応して形状が変化する。ハイドロゲルが保持する水分量で動きが変わり、乾いてくると水をかける前の状態に戻る。

 形状変化の仕方は、ハイドロゲルのパターンやベースとなる布の素材、形の違い、織り方、脱水スピードなどで異なる。

photo 円形のテキスタイルに3つのハイドロゲルパターンを複合した形状変化の実験結果
photo テキスタイルの3つの織り方で形状がどう変化するかの実験結果
photo 4つのテキスタイル素材を用いた場合の形状変化
photo 3つのテキスタイル形状での形状変化

 研究チームは本手法を応用し、晴れの場合は乾燥して矢印が上を向き、雨の場合は水分を含み矢印が平らに変化する布地を作成した。

photo 天気に反応する方向指示器 (A)晴れの場合は乾燥し上を向く (B)雨の場合は水分を含み平らになる (C)印刷されたハイドロゲルパターンとテキスタイルの形状

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