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アナログレコードをスマホでデジタル化する「ADレコ」 “PCいらず”の使い勝手に迫る

» 2020年07月17日 07時00分 公開
[山本敦ITmedia]

 アイ・オー・データ機器の「ADレコ」(AD-1)は、スマートフォンを使ってアナログレコードやカセットテープの楽曲をデジタル化するアイテムです。以前からUSB端子付きのアナログプレーヤーなどはありましたが、それらはPCと接続するのが前提。ADレコは面倒なPCでの作業を全て省いてくれます。

右端にあるのがアイ・オー・データ機器の「ADレコ」。量販店では8800円前後(税別)で販売しています

 ADレコは、複数のケーブルを束ねたような形状の本体(AD-1)と、専用アプリ「CDレコミュージック」で構成されています。CDレコミュージックをiPhoneやAndroidスマートフォン、あるいはソニーのAndroidウォークマンなどのAndroid端末にインストールし、本体をプレーヤーのアナログ音声出力端子とスマホにつなぎます。

これが本体。ケーブルにしか見えません

 Android端末の場合、付属のOTGケーブル(USB Type-C)で接続します。一方、iPhoneの場合はアップルが販売している「Lightning-USBカメラアダプタ」という周辺機器が必要。今回は手持ちのLightning-USBカメラアダプタを使い、新しいiPhone SEにアナログレコードの音声を取り込んでみました。

アップルの「Lightning-USBカメラアダプタ」(税別2800円)

CD音質のFLACと4段階のAAC

 ADレコの取扱説明書には「iPhoneは必ず給電しながら使うこと」とありますが、iPhoneのLightning端子はカメラアダプタでふさがっているため、ベルキンの「Lightning Audio+Charge Rockstar」のような充電とデータ転送を同時にこなせる周辺機器を使うか、ワイヤレス充電のQi規格に対応した充電パッドに置いて使用することになります。ただ、これは取り込み中はiPhoneのバッテリーを消費するからという理由のようで、実際に試してみると給電しなくても取り込みは可能でした。

 音質設定はCD音質のFLAC(44.1kHz、16bit)の他、ビットレートの異なる4段階のAACを選べます。アプリで設定し、レコードに針を下ろせば自動的に取り込みがスタート。レコードを再生しながら処理するため、レコードの再生時間と同じだけ時間がかかります。

 取り込みが始まったら後は放っておくだけ。CDレコミュージックは、曲と曲の間にある無音部分を自動的に検知してファイルを切り分け。iPhoneがネットワークにつながっていれば取り込んだ音楽の波形を「Gracenote」のデータベースに照会し、楽曲情報やカバーアートも付与します。手間はかかりません。

iPhoneをネットワークに接続していれば録音しながら楽曲情報を取得

 全14曲、再生時間55分程度のアルバムを1枚、256kbpsのAAC形式で取り込んだところ、ファイルの容量は250MB前後になりました。

 音質はどうでしょうか。同じ曲を「Apple Music」のストリーミングサービスで探し、聞き比べてみました(ファイル形式は同じAACの256kbps)。アナログレコードから取り込んだ音源はひずみが少なくクリアで、低音の立体感にも富んでいます。聴感上のバランスはApple Musicの方が良いと思いましたが、良くも悪くも優等生の印象。聞く人の感情に響くのがどちらかと聞かれれば、アナログレコードだと思います。

 アナログレコードの場合、プレーヤーによってはカートリッジや針の交換で音質が変わります。好みのセッティングを模索しながらADレコでデジタル化した音を聞き比べれば、好きな楽曲の様々な表情が見られるでしょう。ADレコの手軽さは、レコードファンの強い味方になると思います。

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