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サイバーエージェント、コロナ禍の3Qは「思ったより堅調」 「ABEMA」は宣言解除後もユーザー増

» 2020年07月22日 20時49分 公開
[吉川大貴ITmedia]

 サイバーエージェントが7月22日に発表した2020年4〜6月期の連結決算は、売上高が1128億円(前年同期比0.7%減)、営業利益が82億円(同12.3%減)と減収減益だった。しかし藤田晋社長は、同日の決算会見で「新型コロナウイルスの影響を受けそうかなと保守的に見ていたが、業績は思っていたより堅調に推移した」と前向きな見方を示した。

photo サイバーエージェントの藤田晋社長

 主にメディア事業と広告事業がコロナ禍の影響を受けたが、3〜5月にリモートワークを実施したところ、交際費や広告費を大幅に削減。販売管理費が237億円(第2四半期は269億円)に減ったため、営業利益を堅調に確保できたという。

広告収入減も、ユーザー数を伸ばす「ABEMA」

 4〜6月期単体の連結業績をセグメント別にみると、メディア事業の売上高は133億円(前年同期比19.2%増)、営業損益が40億円の赤字(前年同期は41億円の赤字)。

 コロナ禍でインターネットテレビ局「ABEMA」(旧称AbemaTV)の広告収入が減ったが、“巣ごもり需要”によりWAU(週当たりのユーザー数)が増加。緊急事態宣言の解除後も好調に推移した。安倍晋三首相や小池百合子都知事の会見に加え、藤井総太棋聖のタイトル戦などがよく見られたという。有料会員サービス「ABEMAプレミアム」の会員は累計72.9万人を突破した。

 今後は「オオカミちゃんには騙されない」「恋する週末ホームステイ」など、新型コロナの影響で収録が難しくなっていた恋愛リアリティーショーの撮影も再開する方針だ。オンラインライブの配信にも力を入れ、6月にリリースした有料オンラインライブ機能「PayParView」のアップデートや、フル3DCGのバーチャルライブ会場「ABEMAアリーナ」の提供に取り組むという。

 ABEMA以外の周辺事業では、公営ギャンブルの券売サービス「WINTICKET」が好調。ABEMAに競輪チャンネルを作り、キャッシュレス決済サービス「PayPay」でのポイントチャージに対応したところ、取扱高が第2四半期の2倍以上(72億円)になったという。藤田社長は「周辺事業の中にも、収益性を確保できるものが生まれたという手応えがある」とした。

広告事業は減益も、巣ごもり需要取り込む

 広告事業は、第3四半期の売上高が643億円(前年同期比0.01%増)、営業利益が47億円(同6.0%減)。「4月末の時点では出稿控えが予想されたが、巣ごもり需要を取り込めそうなデジタル広告の出稿が続いた」(藤田社長)という。7〜9月以降は、緊急事態宣言の解除に伴う経済活動の再開にあわせ、売上高の拡大を目指すとしている。

photo ゲーム事業でリリース予定の新規タイトル

 ゲーム事業は、中国向けの「プリンセスコネクト!Re:Dive 簡体字版」やオリジナルIPのアニメが好調だったが、第2四半期に周年イベントが集中していた反動で、第3四半期の売上高は367億円(前年同期比4.0%減)、営業利益は75億円(同9.5%減)に落ち込んだ。今後は引き続き新作のヒットを狙うという。

 20年9月期第3四半期累計(19年10月〜20年6月)の連結決算は、売上高が前年同期比4.6%増の3577億800万円、営業利益が同21.9%増の285億1100万円、最終利益が同3.3倍の58億7900万円。20年3月期までは好業績を維持していたため、累計では増収増益となった。

 20年度の業績見通しは修正しない。4〜6月期終了時点での進捗(しんちょく)率は、売上高が77%、営業利益が89〜102%、最終利益が59〜73%。藤田社長は「進捗は非常に順調」としている。

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