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「迷惑系YouTuber」とは何か なぜ迷惑行為を繰り返すのか(3/3 ページ)

» 2020年07月28日 12時00分 公開
[岡田有花ITmedia]
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 迷惑行為により、彼のYouTubeアカウントはこれまで何度も停止されているが(ネットスラングで「垢バン」と呼ばれる)、本人は「垢バンばっかで笑いが止まらん! 100回くらいバンされたら知名度も上がるし面白いやろ!」と、アカウント停止によってかえって知名度が上がると主張している。

 さらに、「俺の垢がバンされたら何回でも作り直してあげるだけだ!YouTubeから追放されたらツイキャスやニコ生にいけばいいし!逮捕されてもすぐ出てくるし俺が死ぬ以外この爆裂旋風は阻止できないだろうな!」と、迷惑動画に対する制裁すらも、知名度を上げるための道具だと強弁していた。

 また、先述のつまようじ少年は逮捕後の取り調べで「報道のおかげで有名になれて嬉しかった」と話していた。「覚醒剤いたずらドッキリ」の男は、一審の判決で裁判官に「面白い動画を撮って再生回数を上げ、広告料収入を得るためだった」と判断されている。

炎上で“焼け太り”

 いま、YouTubeはレッドオーシャンだ。多数の人気動画がひしめく中、新規の投稿者が有名になるのは簡単なことではない。「食べてみた」「歌ってみた」「ゲーム実況」といった、いわば“平和な”人気ジャンルでは多数の著名YouTuberがしのぎを削っており、新規YouTuberが参入して勝負するのは難しい。

 一方で、迷惑行為や不法行為を撮影して投稿した場合、見た人の批判を受けて「炎上」すれば、多数の視聴者を集めることができる可能性がある。いわば焼け太り、“炎上商法”だ。

 YouTubeをはじめとして、ネット上で有名になれば直接お金につながる。YouTubeは、再生数に応じて投稿者に広告収入を配分しているからだ。YouTubeが不適切な動画と判断した場合は、収益化できなかったり、アカウントを停止されることもある。だが、YouTubeで直接稼げなくても、迷惑行為を炎上させて名前を売り、ファンを得て、他のサイトなどで収益を得るという方法もある。

 へずまりゅうの場合は、迷惑行為が度を超え、犯罪行為に近づいているため、「名前が売れたからお金が稼げる」というわけにはいかないだろう。ただ、彼のファンは少なくないようで、Twitterは5万人にフォローされている。その中には、彼を金銭的に支援する人もいるようだ。

 へずまりゅうに家族を無断で撮影されるという被害にあったYouTuberは、彼が何度も“垢バン”されていることに触れ、「YouTubeでメシを食っている人間以外をYouTuberと呼ばないでほしい」と苦言を呈している。また、ネットでも彼に対して、「YouTuberではなくただの犯罪者」などと批判する向きが強くなっている。

 “迷惑系YouTuber”を撲滅するには、YouTubeというプラットフォーム側の努力もちろん必要だが、迷惑行為を公然と行う人に活動の場や金銭的利益を与えないことも重要だろう。

この記事は、7月27日にYahoo!ニュース個人に掲載された「迷惑系YouTuber」とは何か なぜ迷惑行為を繰り返すのかを編集し、転載したものです。

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