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ソニー、ゲーム・金融以外で新型コロナ悪影響 21年3月期予想で純利益12%減へ(2/2 ページ)

» 2020年08月04日 19時35分 公開
[谷井将人ITmedia]
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音楽、映画、エレクトロニクス、イメージセンサー事業は不調

 不調だったのは、音楽、映画、エレクトロニクス、イメージセンサーの分野。音楽事業は売上高が1771億1500万円(前年同期比251億3800万円減)、映画事業は1750億8900万円(同109億99万円減)、エレクトロニクス事業は3318億4600万円(同1520億6900万円減)、イメージセンサー事業は2061億8600万円(244億9200万円減)だった。

 音楽事業は、音楽ストリーミングサービスの成長とスマートフォン向けゲーム「ツイステッドワンダーランド」が好調ながら、新型コロナの影響でレコーディングやミュージックビデオの制作が遅れていることや、コンサートやイベントの延期、中止が相次いだことで収益が下落。十時副社長はツイステッドワンダーランドを取り上げて「今後の貢献が期待できる」と評価した。

 映画事業では、ビデオの販売やレンタルをのぞいて減収となった。映画館の閉鎖や入場制限により、完成した映画をリリースできない状態にある。ミュージックビデオと同様、人の移動制限で映画の撮影スケジュールにも大きな遅れが生じているという。映画館での上映が難しくなっている現状について、十時副社長は「業績への影響は2、3年に及ぶ」と厳しい見通しを示した。

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 エレクトロニクス事業では、テレビ、オーディオ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、モバイルなど全ての分野で減収となった。生産工場は現在、通常通り稼働しているが、新型コロナの影響で家電量販店などが閉鎖され、店頭での売り上げが大幅に減ったことが要因だという。

 イメージセンサー事業は、ハイエンドスマートフォン向けのイメージセンサーが新型コロナの打撃を受けた。スマホ市場が縮小していることに加え、ハイエンドスマホの購買層がローエンドスマホに移行している傾向があるという。

 十時副社長は会見で、「3年で起こると想定していた市場の縮小が1年で起こる」と危機感を示した。今後は投資を抑える他、「研究開発のテーマも選別や優先順位の見直しを行う」としている。

米中の貿易摩擦については「コメントは差し控える」

 中国Huaweiを中心とした米中摩擦の影響について十時副社長は「特定の会社についてのコメントは差し控える」としながらも、「米中摩擦の影響はあるため、お客さまのベースの拡大、分散には引き続き注力したい」と話した。

 ソニーは2021年3月期の通期業績について、売上高が8兆3000億円、営業利益が6200億円、純利益は19年度より722億円減少して5100億円になると見込んでいる。

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