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「やりとりは対面かFAX」「外出自粛の配慮なし」──議員への不満噴出、省庁職員のコロナ禍での働き方が明らかに(1/2 ページ)

» 2020年08月05日 19時00分 公開
[井上輝一ITmedia]

 「三密の状態で説明が求められる」「官僚の働き方に対して配慮を感じない」──働き方改革のコンサルティングを手掛けるワーク・ライフバランス(東京都港区)が行った、中央省庁の国家公務員に対するアンケート調査で、行政のデジタル化が進まない一因に国会議員の無配慮があることが明らかになった。

 アンケート調査では、2020年3月〜5月の働き方にどんな変化があったか、480人の国家公務員から回答を得た。

議員から配慮あった? 9割が「そう思わない」

「議員とのやりとりで、官僚の働き方の質を高めるための配慮を感じる変化があったか」という質問に対しては、91.3%が「そう思わない」と回答

 「議員とのやりとりで、官僚の働き方の質を高めるための配慮を感じる変化があったか」という質問に対しては、91.3%が「そう思わない」と回答した。自由記述のコメント欄には以下のような不満の声が寄せられた。

 「議員が配慮している様子が全く見えてこない。不要不急のレクを設定してきたり、地元支援者への特例措置を求めてきたり」(法務省30代)

 「これまでもずっといわれていることだが、質問通告がそもそも遅い上に、通告しても極めて抽象的な例が散見される。国会はいつまでたっても紙の資料で議論をしており、非効率な上にさらに無駄な税金が当てられていることになぜ問題意識を持たないのか疑問」(厚生労働省30代)

 「同じ党の議員から、五月雨かつ前後して繰り返し同じことを詰問され、何度も同じ説明をさせられる。 何度説明しても同じ、もしくは違う者から前回のやりとりを踏まえずゼロから同じ詰問を繰り返される。精神的にきついこともあるし、生産性もない。これに対応する時間があれば前向きな政策議論に当てたいと心から思う」(経済産業省20代)

議員への説明はオンラインに移行せず、対面のまま 文書送信はFAXで

「議員への説明が電話やオンラインに移行したか」という質問に対しては、83%が「そう思わない」と回答

 「議員への説明が電話やオンラインに移行したか」という質問に対しては、83%が「そう思わない」と回答。自由記述のコメント欄には、三密環境下での説明を求められたり、マスクを外すよう指示されたりするケースも複数見られた。

 「緊急事態宣言中は基本テレワークだったが、国会議員のレクのためだけに出勤せざるを得ない状況だった」(内閣府40代)

 「緊急事態宣言中なのに平気で毎日のように職員を呼びつける議員がいた」(防衛省20代)

 「省内、省庁間、民間とのやりとりのほぼ全てがオンラインに移行した中で、議員レクや党の会議や国会だけが相変わらず対面を前提としたもので強い違和感があった」(経済産業省30代)

 「(コロナ禍であることを)意識する議員としない議員で二極化」(内閣府30代)

 また、議員への文書の送信手段が依然としてFAXであると86.1%が回答。PCで作成した文章を出力してFAXで送り、受信側がFAXの内容を見て再度システムへ入力するなど、非効率な慣習があることが分かったという。

テレワーク活用度は環境省が1位 省内環境や省庁間の連携に課題

 「テレワークできるようになったか」という質問で、平均スコアが高かったのは順に環境省、総務省、外務省、経済産業省、文部科学省。特に1位の環境省の回答は「強くそう思う」が69.7%、「そう思う」が30.3%で、「そう思わない」「全くそう思わない」は0%だった。

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