一方、省庁全体の声からは、各省庁の慣習がデジタル化を妨げていたり、テレワークを満足に行える設備が不足していたりするなど、課題が見えてきた。
「回線容量が十分でなくテレワーク中に接続できなくなる。テレワークだとネットワークに接続できない端末の職員もいる。オンライン会議を実施するために接続確認や資料の事前共有が必要など、別の手間が生じている」(環境省30代)
「省庁間で会議システムが異なり、省庁をまたいだテレワーク会議が難しい。省庁共通のシステムを導入すべき」(経済産業省30代)
「在宅勤務といいつつ、会社PCに保存したデータを閲覧する方法が皆無のため全く業務が進まなかった」(厚生労働省30代)
「省内職員の多くが同時にテレワークしているからか、テレワーク時の通信環境が劣悪。ひどいときは1通メールを送るのに30分近くかかる(自宅は光回線)」(総務省20代)
「幹部にオンラインレクに反対の方がおり、その場合必ず登庁しなくてはならなかった」(財務省20代)
「テレワークができた」と答えた回答者のうち、71.4%が「家族との時間が増えた」と回答。
「学校の送りも迎えも父側が実施できるようになった」(外務省30代)
「明らかに心身のストレスが減り、よく眠れるようになった」(文部科学省20代)
「息子に『初めてお父さんと一緒に夜ご飯が食べれてうれしい』と言われ、今まで人並みの親らしい事をしてあげられなくて、申し訳ない気分になり泣いてしまった。職員の家族の犠牲の上に成り立つ霞が関の働き方を再認識した」(厚生労働省30代)
──などの声があった。
一方で、依然として長時間の残業体質も変わらない。今回の調査では回答者の約4割が「過労死レベル」といわれる月当たり100時間超の時間外労働をしていることが分かった。中には、時間外労働が200時間や300時間超に上ったという回答もあった。
調査を行ったワーク・ライフバランスは「組織として持続可能ではない働き方に頼っている」と指摘。省庁のテレワークの現状についても、「テレワークが機能しないままでは、政府中枢でコロナのクラスタが発生した場合、政府機能の停止や行政崩壊も起きかねない」と警鐘を鳴らす。
テレワーク移行が進む環境省では大臣へのレクもオンライン化・ペーパーレス化が進んでいることなどから、「省庁のトップである大臣、そして中間層である管理職のリーダーシップが変革の鍵となっている」と指摘した。
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