このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
米ダートマス大学、中国の北京航空航天大学、上海交通大学、武漢大学、そして米Microsoft Researchによる研究チームは、布地の上で空中ジェスチャーを可能にするタッチレスセンシング技術「Fabriccio」を発表した。Pixel 4の「Motion Sense」や「Leap Motion」に近い機能だが、布地に自然な形で縫い込めるところが特徴だ。
ソファやズボンに縫い合わせることで、その上でのジャスチャーを検知し、スマートフォンやウェアラブルデバイスなどの操作を可能にする。プロトタイプでは、導電性の糸で作られた送受信ループアンテナを布に縫い合わせた。
ドップラー効果に基づいて周波数の変移を観測することで、布地から約10cm離れた指先のジェスチャーを検出する。検出したジェスチャーは、機械学習で訓練したモデルによって、タッチレスジェスチャーで10種類、タッチジェスチャーで1種類を識別する。識別率は92.8%を達成した。
デモでは、ソファの肘置きに縫い合わせたテレビのリモコン、ズボンのポケット付近でスマートフォンを操作、バックパックの肩紐やテーブルクロスへの組み込みなどの用途が紹介されている。
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