ITmedia NEWS >
インタビュー
» 2020年08月21日 07時10分 公開

きっかけは「セントリーノ」 インテル出身の二人が提案する熱中症予防の新“法則”(1/2 ページ)

アイシング用保冷剤「アイスバッテリーfresh」を製造販売する松浦工業とアイスバッテリーの開発元のアイ・ティ・イー。両社に共通するのは、“元インテル”だった。

[芹澤隆徳,ITmedia]

 「中高生の部活動で熱中症対策といえば、30年前も今も『こまめな水分補給』だけ。クールダウンを意識している指導者は少ないのが現状です」——こう力説するのは、アイシング用保冷剤「アイスバッテリーfresh」を製造販売する松浦工業の井戸英二取締役だ。アイスバッテリーを開発したアイ・ティ・イーのパンカジ・ガルグCEOとタッグを組み、「手のひら冷却」の啓蒙に力を入れている。2人の共通点は“元インテル社員”だ。

松浦工業(大阪府大阪市)の井戸英二取締役。手に持っているのが「アイスバッテリーfresh」。取材はZoomで行った

 手のひら冷却は、手のひらにあるAVA(Arteriovenous Anastomoses、動静脈吻合)と呼ばれる血管を冷やすことで、効率よく深部体温を下げられるというもの。昨年、NHKの番組が米スタンフォード大学の研究成果を紹介して注目を集めた。

 手のひら冷却では体感温度15度付近がもっとも効果的とされ、アイスバッテリーfreshでは表側(ロゴあり)の表面温度を20度、裏面(ロゴなし)を10度に調整している。温かい手のひらで裏面を触ったとき、ちょうど15度前後になるという寸法だ。

第三者機関に依頼して実験した温度変化調査の結果。青いライン(ロゴなし面)は2時間ほど15度前後で推移している

 もっとも一般的な保冷剤は温度を固定したり、同じ温度を長時間維持したりすることは難しい。それを可能にしたのは、ガルグさんが開発した「アイスバッテリー」技術だった。

 アイスバッテリーの特徴は、材料の配合によって任意の融点を設定でき、溶けきるまでほぼ一定の温度を保つこと。容量や保冷材の数を増やせば保冷時間の延長も容易で、長時間の安定した保冷を可能にした。

きっかけはセントリーノ

 インド出身のガルグさんは、シーラス・ロジックやNVIDIA、インテルといった半導体ベンダーに務め、主にグラフィックチップの開発に携わってきた。中でもインテルでの経験はアイスバッテリー開発のヒントになったという。

アイ・ティ・イーのパンカジ・ガルグCEO(出典は同社サイト)。取材は電話で行った

 「Centrino」(セントリーノ)の開発に携わった人と書けば、詳しい人はピンとくるかもしれない。2003年にインテルが発表したCentrinoは、省電力CPUとグラフィック統合型チップセット、無線LANモジュールをセットにしたモバイルPC向けプラットフォーム。このとき、インテル初の“チップセット内蔵グラフィックス”を担当したガルグさんは、「多くのトランジスタを集積した回路をどうやって冷やすか。ひたすら考え、試行錯誤した」という。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.