米Epic Gamesは8月23日(現地時間)、同社のゲーム「Fortnite」をアプリストアから削除した米Appleを提訴した裁判(訴訟番号3:20-cv-05640)で新たな裁判文書を提出し、Appleによる同社のゲームエンジン「Unreal Engine」排除はゲーム業界のエコシステム全体に深刻な影響をもたらすと説明した。
Unreal Engine排除というのは、EpicがAppleを提訴した後にAppleがEpicに対し、「Apple Developer Program License Agreement」への違反を修正しなければ8月28日までにガイドラインに則ってAppleが付与するすべての権利とライセンス、および本契約に基づいて提供されるサービスを終了すると警告したことを指す。
この影響は、Fortniteだけでなく、Unreal Engineの「存続可能性に対する直接的な攻撃」と主張。開発者アカウントがなくなれば、iOSおよびmacOS向けエンジンの開発ができなくなり、AppleのOSとの互換性がなくなれば、サードパーティーのゲームメーカーがUnreal Engineを採用しなくなると説明している。
Epicは裁判所に、Appleによる開発者アカウント停止に対する差し止め命令を出すよう求めている。
Appleはこの警告について、21日付の異議申立理由補充書で、「EpicはAppleとの契約に違反した際、Unreal Engineを含むAppleとの関係全体を深刻なリスクにさらすことになると十分に理解していた」としている。
これに対しEpicは文書で、「Appleは、Unreal Engineを含むすべての開発者ツールおよびアカウントへのアクセスの取り消しは契約に含まれると主張しているが、そうではない」と主張。AppleはEpicの複数の関連会社やプログラマーと契約しており、1つの契約での違反をすべての契約下の権利の取り消しの理由にするのはおかしいとしている。
Epicはまた、Unreal Engineへの取り消しがゲーム業界に深刻な脅威になるとして、Unreal Engineを採用する開発者からの問い合わせが急増していると説明し、米Microsoftからの支持文書も提出した。Microsoftは自社のゲームでUnreal Engineを採用している。
この裁判の初公判は24日にカリフォルニア州北部地区連邦地裁でZoom経由で開催の予定だ。
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