他の国産ベンダーの政府向けクラウド事業の戦略を見ると、どの企業のサービス内容もほぼ同じ印象を受ける。例えばAWSやAzureと連携するマルチクラウド環境を構築したり、立ち入り監査を視野に入れたセキュアな自社クラウドを提供したりといった具合だ。
そんな中での他社とNECの最大の違いは、これまでも述べてきた通り「なるべくゼロから作らずに、既存のサービスをうまく組み合わせる」方針をとっていることだ。
競合他社の多くは、政府からのITシステムへの要求にきめ細かく対応し、ゼロからシステムを作り上げるSIサービスを提供しているが、NECは仕組みを一から作るのではなく、ServiceNowなどの既存サービスを使って開発のスピードを速めるアプローチをとっている。
SIで細かな対処をした方がビジネス的には売り上げを立てやすそうだが、NECはサービス連携などによってスピーディーなシステム構築を実現し、クラウド本来のメリットを提供することに意義を見いだしているのだろう。
NECでは25年度までに、政府のクラウド上で100種類のシステムを動かす目標を掲げている。“なるべく作らない”アプローチを政府が評価し、SIよりも売り上げを拡大できるかは、NECがこの手法でどれだけの価値を創出できるかにかかっている。
コロナ禍でテレワーク普及も、日本はクラウド後進国のまま? その裏にあるSI業界の病理
「リモートアクセスできない」――コロナ禍のテレワーク、ITインフラの課題が浮き彫りに 打開策は「クラウド」が首位
NTTデータが政府系クラウドに本腰、AWSとの戦い方は? 武器は“マルチクラウド指向”のマネージドサービス
政府系クラウドに参入した富士通は、AWSとどう戦うのか? 狙いは「政府共通プラットフォーム」に載らないシステム
AWSジャパン、政府や地方自治体のクラウド化に照準 公共領域でのパートナー連携を強化し“首位固め”Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR