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» 2020年08月31日 20時05分 公開

楽天市場のノウハウを東急店舗に 楽天と東急が共同出資会社 マーケティングなど強化

楽天と東急が共同出資会社「楽天東急プランニング」を9月1日に設立する。新会社は今後、それぞれが持つオンラインとオフラインの経営資源を組み合わせ、両社の広告やデジタルマーケティングの強化に取り組む。

[吉川大貴,ITmedia]

 楽天と東急は8月31日、共同出資会社「楽天東急プランニング」を9月1日に設立すると発表した。新会社では今後、eコマースなど楽天が持つオンラインの経営資源と、小売りなど東急が持つオフラインの経営資源を組み合わせ、両社の広告やデジタルマーケティングの強化に取り組むという。出資比率は楽天が51%、東急が49%。

 社長は楽天の笠原和彦常務執行役員が、副社長は東急の日野健さん(経営企画室マーケティング・IT推進グループ統括部長)が務める。事業内容は(1)両社のデジタルマーケティングを強化するデータマーケティング事業、(2)両社の広告パフォーマンスの最大化を目指す広告事業、(3)オンラインとオフラインの両チャネルを活用し、商品企画や流通、顧客の購買体験を改善するOMO(Online Merges with Offline)事業──で構成する。

photo 楽天の笠原和彦常務執行役員=左、東急の日野健さん=右

 データマーケティング事業では、楽天が持つオンラインの、東急が持つオフラインの消費者行動のデータを、楽天のAIエージェント「Rakuten AIris」などで分析。東急が小売店で販売する商品の価格や品ぞろえなどの見直しに役立てる。

 2020年10月〜21年3月には、東急が運営する「東急ストア」での実証実験も行う。楽天によるデータ分析で把握した東急ストアの見込顧客に、楽天のスマートフォンアプリなどを通して商品やキャンペーンの情報を配信し、得られた実購買データを検証する。

 広告事業では、オンラインとオフラインの両チャネルを活用した広告商品の開発に取り組む。まずは11〜12月に、二子玉川の東急ストアや東急沿線の二子玉川駅などで、デジタルサイネージが持つ広告効果の実証実験を行う。駅内や店頭などにデジタルサイネージを設置し、接触データを楽天が提供するサービスで分析。実購買データと比較し、広告効果を検証する。

photo 事業内容の解説

 OMO事業では、両社の経営資源を組み合わせ、商品企画や流通、顧客の購買体験の改善に取り組む。例えば商品企画では、東急のバイヤーによる目利きと、楽天のECサイトが算出する売れ筋トレンドを組み合わせ、より顧客のニーズに沿った商品の調達を実現するという。

 新会社設立にあわせ、東急のグループ店舗では楽天が提供するポイントサービス「楽天ポイント」の導入を進める。9月1日には東急ストア全店に、10月には「東急百貨店」全店(ながの東急百貨店を除く)に順次導入。11月には「東急ホテルズ」の各ホテルで、21年春には二子玉川ライズ内のショッピングセンターでも導入する。

タッグの理由は「20数年の信頼」

 東急と共同出資会社を設立した理由について、楽天の笠原常務執行役員は「東急はサービスや生活提案など、地域の消費者と深い関係を持っている。楽天が培ったオンラインに関するノウハウを東急に提供することで、より消費者の満足度を高められると考えた」と説明している。

 東急は1997年に東急百貨店をECサイト「楽天市場」に出店。楽天も2015年にオフィスを東急沿線の二子玉川駅近辺に移設しており、良好な関係が20数年続いていることも理由の1つという。

 「われわれの作っていくビジネスは、前日にはないものを模索していくことも多い。具体的に売り上げをどうするかなどはすぐに述べられないが、新しい事業を継続できるかどうかに設立の意義があると考えており、楽天も東急も新しい分野を広げていきたいと思っている」(笠原常務執行役員)

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