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Facebook、利用規約に「コンテンツを削除または制限」の条文を追加 豪の規制法案めぐり

» 2020年09月03日 15時22分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 米Facebookは9月1日(現地時間)、利用規約を10月1日に更新すると発表した。8月31日にオーストラリアでのサービス変更について公式ブログで説明しており、その変更を可能にするために世界での利用規約を変更するようだ。

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 変更は、第3条「Facebookとコミュニティに対する利用者の誓約」の第2項「Facebookで共有可能なコンテンツおよび認められる行為」に「We also can remove or restrict access to your content, services or information if we determine that doing so is reasonably necessary to avoid or mitigate adverse legal or regulatory impacts to Facebook.」というテキストを追加するというもの。日本版のプレビューでは本稿執筆現在まだ和訳されていないが、「Facebookへの法的または規制的な悪影響を回避または軽減するために合理的に必要であると判断した場合、Facebookはコンテンツ、サービス、または情報へのアクセスを削除または制限することもできる」という意味だ。

 これは、オーストラリアの競争規制当局である競争・消費者委員会(ACCC)が進めている法案「News Media Bargaining Code」が成立した場合の対策とみられる。7月31日に公開されたこの法案は、プラットフォームに対し、プラットフォーム上で表示する記事コンテンツについて、記事を提供するメディアと交渉したり、使用料を支払ったりすることを義務付けるというものだ。

 オーストラリアのメディアの記事がプラットフォーム上で表示されないよう制限すれば、交渉したり使用料を支払う必要もなくなる。

 Facebookは8月31日、この法案が成立すればFacebookとInstagram上でのニュースの共有を停止すると警告した。オーストラリア政府の目標が自国のメディアをサポートすることであることは理解しているが、この解決策は逆効果だと主張。プラットフォームで表示するニュースは「われわれにとって重要な収入源ではない」が「社会のために」表示していると説明した。プラットフォームに表示することで、メディアに対して「以前より何倍も多くの視聴者にリーチできる無料のツールを提供している」としている。

 オーストラリアのFacebookとInstagramで記事を表示しないという選択は、ACCCによる「非論理的で、長期的にはオーストラリアのニュースメディアの活気をも削ぐことになる結果から、われわれ自身を守るための唯一の方法」だという。

 FacebookやGoogleなどのプラットフォームでメディアの記事が無料で読めることは、政府やメディアがたびたび問題にしていることだ。Googleは6月、ニュースサービス「Googleニュース」で年内に立ち上げる“新しいニュース体験”に高品質なコンテンツを提供する一部メディアに対価を支払うライセンスプログラムを発表した。

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