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「特別警報」級の台風10号が西日本に接近 養生テープの効果は? オフラインでも役立つアプリなど対策まとめ

» 2020年09月03日 20時45分 公開
[井上輝一ITmedia]

 気象庁は、台風10号が「特別警報」級の勢力まで発達し、9月6日から7日にかけて奄美地方から西日本に接近、または上陸する恐れがあるとして警戒を呼び掛けている。

気象庁の3日午後6時時点での台風予報

 3日午後6時時点の予報では、5日午後3時に中心気圧が915hPa、中心付近の最大風速が55m/sの猛烈な台風となり、勢力を維持したまま6日に奄美地方に近づく見込み。最大瞬間風速は80m/sに達するとしている。7日午後3時までの暴風警戒域には九州全域や中国地方と四国地方の一部も含まれており、西日本の広い地域に被害をもたらす可能性がある。

 2019年10月に伊豆半島に上陸し、東日本に甚大な被害をもたらした台風19号よりも強い勢力で近づく恐れがあり、早めの対策や避難が必要だ。ここでは基本的な対策方法の他、ネットで話題になった対策などをまとめる。

養生テープ、結局効果は?

 19年の台風19号上陸の際に、家屋の事前対策として話題になったのが「養生テープ」。窓ガラスに「米」の字に貼ることで、ガラス飛散防止フィルムの代用品とするアイデアだ。

 一方で、米国土安全保障省がハリケーン対策について「窓へのテーピングは時間と労力の無駄。風で飛んできた物体に対する防御にはならない」などの見解を示していることもネット上で拡散され、養生テープを貼るべきかどうか情報が錯綜した。

 テープを貼った際の窓ガラスの強度や飛散の変化について、サイエンスアーティストの市岡元気さんとともに科学実験動画を投稿している人気YouTuberの水溜りボンドさんが、検証動画をYouTubeに公開している。

 水溜りボンドさんらは旭硝子の協力の下、窓ガラスに秒速65mの風圧に相当する炭酸ガスや、飛来する石などをぶつけて実験。その結果、「台風の場合はテープを貼らなくても風圧だけで割れることはなさそうだが、飛来物でガラスが割れた際に飛び散りにくくなる効果はある」とした。

 ガラスなどを販売するコダマガラス(大阪府八尾市)も、「強い衝撃の場合、飛散するガラスもあるものの、何も対策しないものに比べれば飛散防止効果はある」とする検証動画を公開している。その上で同社は「プラベニヤや段ボールを窓ガラスの内外に貼ることも有効」と指摘。屋外側にプラベニヤなどを貼ることで飛来物のガラスへの衝撃を緩和でき、屋内側にも貼ることでガラスが割れた際の飛散を防止できるため、テーピングとともにこれらの対策も行うのが最適としている。

事前事後の防災情報収集に役立つアプリ3選

 適切な台風対策を行うためには、リアルタイムでの情報収集はもちろん、インターネットに障害が起きてオフラインとなった状況も想定したい。

オフラインでも防災情報満載の「東京都防災アプリ」

東京都防災アプリ東京都防災アプリ 東京都公式の防災ブック「東京防災」をアプリ化した「東京都防災アプリ」

 オフライン時に役立つアプリが、「東京都防災アプリ」(iOS/Android)だ。東京都公式の防災ブック「東京防災」を公式アプリ化したもので、一度インストールしておけば「避難の流れ」や「緊急時の応急処置」などをオフラインで閲覧できる。

 オフラインで地図を表示する機能も備えるが、東京都以外では使えない。オフライン地図については、米Googleの「Googleマップ」が19年11月に日本でも対応したため、Googleマップを使って自分の居住地付近などの地図データを事前にダウンロードしておくのがいいだろう。

Googleマップのオフラインマップ機能Googleマップのオフラインマップ機能 Googleマップのオフラインマップ機能

災害情報の共有やプッシュ通知などを備える「Yahoo!防災速報」

 「Yahoo!防災速報」(iOS/Android)は、15種類の災害情報のプッシュ通知や、ユーザー同士が災害状況を共有できる「災害マップ」、東京防災の一部内容を閲覧できる「防災手帳」機能などを備える。

「Yahoo!防災速報」 オンライン環境前提ながら、各種情報のプッシュ通知や災害マップによる情報共有など、多機能な防災アプリだ

 災害マップは「令和2年7月豪雨」の際、約7万8000件の災害状況の投稿や、約33万8000件のライフライン状況の投稿があるなど、多くの人に活用されたという。防災手帳は東京都防災アプリの内容とも被るが、基本的にはオンラインのWebページへのリンク集であるため、オフライン環境では閲覧できない。オンライン環境を前提として活用するアプリだ。

気象庁と専用線で接続 国内最速レベルで発信する「特務機関NERV防災アプリ」

「特務機関NERV防災アプリ」

 「特務機関NERV防災アプリ」(iOS/Android)は、2011年の東日本大震災以降、防災情報を発信するTwitterアカウント「特務機関NERV」(@UN_NERV)を運用してきたセキュリティ企業ゲヒルンの防災アプリ。気象庁本庁舎と大阪管区気象台にある「気象業務支援センター」と接続した専用線から防災気象情報をダイレクトに受け取って配信しており、「国内最速レベルの情報発信を実現した」(同社)としている。

 台風による被害で大規模な停電が発生する場合もある。これらのアプリを使うためにも、スマートフォンを充電できるモバイルバッテリーを非常用持ち出し袋に追加しておきたい。

政府「早めの対策、避難行動を」

 政府は内閣府政府広報オンライン(@gov_online)のTwitterアカウントで、台風による強風への対策として確認すべき事項を以下のように挙げている。

  • 雨戸やシャッターがきちんと閉まるか点検、必要あれば補修を
  • 窓にひび割れやがたつきがないか確認する
  • 窓に雨戸やシャッターがない場合、割れた際のガラス飛散防止のためにカーテン・を閉める、窓に飛散防止フィルムを貼るなどする
  • 雨どいに枯れ葉や砂などが詰まっていれば除去する
  • 屋根瓦やトタンがめくれたり壊れたりしていれば補修する
  • テレビアンテナが錆びたり緩んだりしてないか確認
  • 物干し竿は飛ばされないよう、下に下ろしておく
  • 庭木は飛ばされたり倒れないよう、ロープや支えなどで固定する
  • 強風で飛ばされそうな植木鉢は家の中へ
  • プロパンガスが固定されているか確認する

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