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コロナ禍でも事例続々、AWSジャパン長崎社長が手応え語る 「ソニーの電気自動車もシステム基盤はAWS」AWS Summit Online基調講演

» 2020年09月08日 18時55分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 アマゾンウェブサービスジャパンは9月8日、オンラインイベント「AWS Summit Online」をスタートした。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、年次カンファレンス「AWS Summit」をWeb配信に移行したもの。基調講演のライブ配信には長崎忠雄社長が登壇し「AWSは、変化が著しい世界のビジネスにスピード感をもたらせる」と説明。ソニーやトヨタ自動車、塩野義製薬など、AWSの導入企業や協業先が増えていることを強調した。

photo アマゾンウェブサービスジャパンの長崎忠雄社長

 AWS Summit Onlineでは基調講演のアーカイブ映像に加え、研究者・起業家の落合陽一さんらを招いた特別講演、ユーザー企業による活用事例セッションなど約150の講演動画を30日までオンデマンド配信する。強化学習を活用して自律走行するミニチュアカー「AWS DeepRacer」のレースも放送する。いずれも参加費は無料。

 長崎社長は基調講演で、昨今は自動車業界、鉄道業界、電力業界などとの協業を深めていると説明。ソニーが1月の「CES 2020」で発表し、開発を進めている電気自動車「VISION-S」のシステム基盤にAWSを使っていることを明かし「ソフトウェア制御やデータ分析、車両管理などの仕組みをマネージドサービスで提供している」とした。

photo ソニーは電気自動車「VISION-S」のシステム基盤にAWSを使っているという

 また、長崎社長は8月にトヨタ自動車との協業を拡大したことにも言及。「トヨタはグループ全体で、ビッグデータの蓄積や利用を強化できる」と強調した。他にもパナソニック、ヤンマー、LIXIL、ディー・エヌ・エー(DeNA)などがAWSを採用しているといい「ビジネスの構造自体が変化する中で、IoTやMaaS領域でのAWS活用が進んでいる」と手応えを示した。

 テレワークへの移行に伴う、ITインフラ強化の一環でAWSを導入する企業もあるという。同社長は講演で、塩野義製薬がテレワークへの移行に伴い、「AWS Client VPN」を使って3000人規模のVPN環境を3日間で構築したことや、文具大手のプラスが「Amazon WorkSpaces」「Amazon Connect」を組み合わせて、コールセンターの完全在宅勤務を実現したことを紹介した。

photo 塩野義製薬は3000人規模のVPN環境を3日間で構築したという

 さらに同社長は、新たなビジネス領域でのクラウド活用や、コロナ禍における急なクラウド導入などには、ソニーも利用しているマネージドサービスが最適だと強調。「維持管理やメンテナンスをAWSに任せて頂くことで、ユーザーは価値発揮に集中でき、クラウドが真価を発揮する」と語った。

コロナ禍は新たな技術を学べるチャンス?

 基調講演には米Amazon.comのヴァーナー・ボーガスCTOも登壇。「コロナ禍によって自宅で働く人が増えた。時間に追われることが減り、企業は新たなサブシステムを開発できるだろう。開発者は機械学習など、新たな技術を学ぶ機会になるかもしれない」と前向きな見方を示した。

photo 米Amazon.comのヴァーナー・ボーガスCTO

 ボーガスCTOは、コロナ禍においてAWSを有効活用している欧米企業の例として、映像コンテンツを制作する英Untold Studios、オンライン診療プラットフォームを展開するスウェーデンのKRYなどを挙げた。いずれもコロナ禍に伴う需要増に対応し、大容量のコンテンツの保管・配信や、低レイテンシでのビデオ通話を実現しているという。

 同CTOによると、草の根でのAWS活用も広がっており、イタリア・ミラノではAWSの開発経験がなかった5人の学生が、スーパーマーケットのレジ待ち時間を可視化するアプリ「FilaIndiana」を「Amazon DynamoDB」などを用いて開発。密な環境を避けられることから、1週間で100万人にダウンロードされたとしている。

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