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Apple、Epicを反訴「ロビンフッドを装う大金持ち」

» 2020年09月09日 09時02分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 米Appleは9月8日(現地時間)、係争中の米Epic Gamesに反訴した。人気ゲーム「Fortnite(フォートナイト)」のiOS版にガイドライン違反の独自決済機能を導入した行為を「窃盗」に当たるとし、利益返還などの責任を追わせるよう求めた。

 Appleは米カリフォルニア州北部地裁に提出した訴状で、この訴訟はEpicが主張するようなAppleによる独占の問題ではなく「金銭に関する基本的な意見の相違に過ぎない」とし、「Epicは現代版ロビンフッドのように振る舞っているが、その実態はApp Storeで得られる膨大な収益に何も対価を払いたくないだけの数十億ドル規模の大企業だ」と批判した。

 apple 訴状より

 「Epicは過去2年間、他のどのアプリ開発者よりもAppleのサポートとサービスを利用してきた」という。Appleはフォートナイトの新シーズン公開ごとにアプリストアのスポットライトで無償で紹介し、好意的なツイートを提供したという。こうしたサポートにより、フォートナイトのiOS版は174カ国で約1億3000万回ダウンロードされ、Epicはこれにより5億ドル近くを得たとしている。

 Epicは8月、iOS版フォートナイトにAppleのガイドラインに違反する機能を追加し、Appleがガイドラインに従ってフォートナイトをアプリストアから削除すると、Appleを独禁法違反で提訴した。Epicは同時に、いわゆる“Apple税”(App Storeのアプリによる収益の30%を手数料としてAppleに納めるもの)は不正だとするユーザーを巻き込むキャンペーンを展開している。EpicとAppleがこの訴訟で争っているのはAppleが独占企業でガイドラインが違法かどうかだ。Epicは裁判所に対し、フォートナイトのApp Storeでの復活と、開発者アカウントの回復のための差し止め命令を求めている。

 Epic対Appleの訴訟(訴訟番号:4:20-cv-05640)のこれまでの経緯は記事末の「関連記事」を参照されたい。この裁判の審理は9月28日午前9時半から、前回と同様Zoomで行われる予定だ。

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