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「PlayStation 5」は次の6年で何を担うのか 実機プレイで分かったこと(3/4 ページ)

» 2020年10月05日 13時49分 公開
[松尾公也ITmedia]

リアルタイムレイトレーシングのコストパフォーマンス

 1979年に生まれた3DCGのレンダリング手法であるレイトレーシング(光線追跡法)は、リアルな陰影や反射を再現した映像を生成する代表的な手法だ。しかし、その処理には大量の計算リソースをもってしても相当の時間がかかり、リアルタイムでのレンダリングは困難だった。そのリアルタイムレイトレーシングが身近になったのは、米NVIDIAのRTXシリーズが2019年に登場してからだ。このGPUは通常のシェーディングを行うCUDAコアの他にレイトレーシングを計算する専用のRTコアを備えており、リアルタイムレイトレーシングが可能だ。その能力を誇示するかのようにこの世代からシリーズ名をGTXからRTXに変更している。

 2020年9月に発表されたRTX30シリーズ(3070、3080、3090)は最も安い3070で499ドルだ。もちろん単純比較はできないが、PS5のデジタルエディションより100ドル高く、日本ではグラフィックスカードの“為替レート”が高いため、下手をするとPS5の倍くらいの価格になってしまう。

 一方、GPUにおけるNVIDIAのライバルであり、PS5にCPUとGPUを供給する米AMDは、PC向けには未投入であるが、PS5(と米Microsoftの「Xbox Series X」)向けにレイトレーシングを高速に実行できるGPUを提供している。

 もちろん、NVIDIAとAMDのグラフィックスカードの性能やアーキテクチャの差はあるし、現時点でPS5のレイトレーシング性能は不明で、10.3TFLOPSというGPU演算性能しか分からないが、少なくとも「リアルタイムレイトレーシング対応」をうたうタイトルが確実にプレイできるという意味において、そのコストパフォーマンスは揺るぎない。

 試遊では、Godfallの主人公や敵のアーマー、数多くの照明やかがり火が磨き上げられた床面に映り込んでよどみなく動くのを確認し、キャプチャーしたビデオでも、リアルタイムレイトレーシングと思われるグラフィックスが4Kで破綻なく動作しているのも分かった。

 もしもこのグラフィックス性能をゲーミングPCで出そうとするならば、10万円台の後半から20万円台は必要だとする推測はあながち間違いではなさそうだ。超高速SSDに見合うだけのストレージをPCに装備しようとすると、さらに資金が必要なのは確かだろう。4〜5万円でPCゲームに何ができるかというと、NVIDIAの最新GPUで最も安い製品にも手が出ないのが現状なのだ。つまり、「2019年以降に最新GPUを揃えているのでなければお買い得」ということだ。

 もちろん、PS5ならではのDualSenseコントローラーとTempestによる総合的なゲーム体験を考えれば、そのコストパフォーマンスはさらに高いものになるだろう。

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