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ZHD、コロナ禍2Qも増収減益 Go ToでO2OがV字回復 川邊社長「下期は“攻め”の経営へ」

» 2020年10月30日 18時24分 公開
[安田晴香ITmedia]
photo Zホールディングスの川邊健太郎社長

 Zホールディングス(HD)が10月30日に発表した2021年3月期第2四半期(20年4〜9月)の連結業績は、売上高が5572億円(前年同期比15.1%増)、営業利益が982億円(同29.8%増)、最終利益が458億円(同10.4%減)と増収減益だった。最終利益は前年同期にPayPayの持分変動利益108億円を計上した影響により、前年同期比で減少した。

 一方、「Go To Travel キャンペーン」によって、宿泊予約サイト「一休.com」などのO2Oサービスの取扱高が前期比で53.3%増加。巣ごもり需要も継続したことでEC物販も堅調に推移した。同日の決算会見で川邊健太郎社長は「下期は“攻め”の経営へ転じる」と意気込んだ。

コマース事業は増収増益 O2OがV字回復

 主力のコマース事業(金融・eコマース)は、売上高が4147億円(同24.1%増)、営業利益が676億円(同92.2%増)と増収増益だった。

 第2四半期に復調したのが、O2Oサービスだ。政府が進めるGo To Travelキャンペーンによって、宿泊予約サイト「一休.com」や旅行サイト「Yahoo!トラベル」などの取扱高が増加。第2四半期単体の取扱高は1754億円になり、前年比で53.3%増加した。コロナ禍の影響により、第1四半期の取扱高は落ち込んだが、上期トータルで同2.2%増加した。キャンペーンへいち早く参画した他、単価の高い宿泊施設をカバーする一休.comがユーザーのニーズに合致したことが、プラス成長につながったとしている。

photo O2Oサービスでは「Go To Travel キャンペーン」が追い風に

 加えて、前期に続き巣ごもり需要が継続したことを受け、EC物販も伸長。通販サイト「Yahoo! ショッピング」やECサイト「PayPayモール」の新規購入者が前年比38%、新規出店は同34%増加した。コマース全体の物販取扱高は、1兆2535億円(同30.8%増)だった。

photo EC物販の新規購入者数、新規出店数が増加

 モバイル決済サービス「PayPay」は、決済回数、加盟店数が前年比で増加。ユーザー数は10月19日時点で3300万人を超えた。今後はグループ傘下のジャパンネット銀行と連携し、PayPay経由の口座開設や個人ローン申し込み件数などの増加を目指す。他社の金融サービスとの連携も視野に入れ、サービスのマネタイズを図る。

photo PayPayのユーザー数は3300万人を突破(10月19日時点)

 コマース事業が伸長した一方、「Yahoo! JAPAN」に掲出する広告サービスなどのメディア事業は前期に引き続き減収減益。売上高が1419億円(同4.6%減)、営業利益が679億円(同6.1%減)だった。コロナ禍により広告出稿が減少しているという。

「下期は積極投資で“攻め”の経営へ」

 上期の業績を踏まえ、川邊社長は「コロナ禍によって慎重な“守り”の経営が続いたが、下期は“攻め”の姿勢の経営を行う」と明言。政府のデジタル庁創設やDX化の推進により、世の中のデジタル化がさらに進むとして、主力のコマース事業を中心に積極的な投資を行い注力領域を伸ばしていく考えを明らかにした。

 今後はソフトバンク以外のキャリアユーザーへのPayPayボーナスの付与や、PayPayを使うとポイントを還元するキャンペーンを積極的に展開。クレジットカード「Yahoo! JAPANカード」の会員数増加なども見据え、新しいサービスや機能を提供していくという。

 21年3月期通期(20年4月〜21年3月)の通期業績予想は、売上高が1兆1400億円(前年比8.3%増)、営業利益が1600億円(同5.1%増)を見込む。LINEとの経営統合の影響は、現時点で予見可能な部分は一定程度を加味しているという。

photo 通期業績予想は、売上高が1兆1400億円、営業利益が1600億円

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