このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
明治大学、大阪大学、米テキサスA&M大学による研究チームが開発した「Programmable Filament」は、低価格の3Dプリンタを用い、複数の色と材料を使用した造形物を印刷できる技術だ。安価で使いやすいFDM(熱溶解積層方式)の3Dプリンタで、多色で複数の素材を用いた造形物を作り出せる。
FDMとは、細長いワイヤ状の材料(フィラメント)を半液状になるまで熱し、ノズルから押し出して下から積み重ねて造形する手法。2つのノズルが搭載するデュアルヘッド型の3Dプリンタもあり、2色印刷やサポート材を組み合わせた造形が可能だ。より高価な、多色造形のための専用ハードウェアなども販売されている。
今回の手法では、3Dプリンタ側ではなく、フィラメント側を直接設計し、低コストで安定した多色多材質の造形を目指す。具体的には、前処理として最初に複数の色や材料を組み合わせた単一のフィラメントを3Dプリンタで印刷する。印刷したフィラメントはカラフルな1本のワイヤとなり、従来のフィラメントと同じように利用できる。さらに、各材料の長さを事前に計算してフィラメントをプログラムすることで、印刷に合わせて材料が自動で切り替わっていく仕組みが実現できる。
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