総務省は11月24日、インターネット事業費の上限緩和を求めるNHKの申請について「一定の合理性がある」とする考えを示した。25日から意見募集を行う。
NHKは11月10日に、総務省に対しネット事業費の上限額を「年額200億円を超えない」に改めるよう申請した。NHKは現在、テレビ番組をインターネット上でも配信する業務を行っているが、総務省はネット業務に掛ける費用について「各年度の受信料収入の2.5%を上限とする」と定めている。
NHKの受信料収入は2018年度に7000億円を超え、19年度には7115億円となった。20年度の予算に当てはめるとネット事業費の上限額は174億円。東京オリンピックに向けた特別費用と合わせても194億円までで、200億円に変更すれば上限の緩和となる。
総務省はこれについて、「費用の上限の明確性」「費用の上限の適正性」という観点で検討したという。明確性を巡っては、200億円と具体的な数値が明示されているため適切としている。適正性についても不適切とはいえないとしている。
NHKによると、テレビ番組を放送と同じ時間にインターネットでも流す「同時配信」に掛かる費用は、20年度が54億円で23年度には64億円に膨らむ見込みという。増額の理由としては、サービスの提供時間や利用者数の増加、配信基盤やセキュリティ体制の整備、見逃し配信の実施などを挙げている。
一方、ネット中継など同時配信以外の事業は東京オリンピックで一時的に110億円まで増えるが、22年以降は90億円台に減る見込みとしている。同時配信と合わせた費用は、20〜23年度で年間189〜192億円になる見込み。
総務省はこれらの事情を検討し、「協会の目的達成に資する業務である」「費用の増加についても、おおむね一定の合理性があると考えられる」とした。見込額と上限額の差額に付いても不適切とまでは言えないと判断した。一方、「費用が見通し額を超えないよう努めること」「見通し額を超える場合は事業の実施計画や報告書でその理由を明らかにすること」なども求めるとしている。
同省は、この考え方について11月25日から12月24日まで、メール、郵送、FAX、総合窓口サイト「e-Gov」で意見募集を行う。集まった意見を踏まえて再度検討を行い、電波監理審議会に諮問する。
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