M1版MacとPS5、最新ハードに見える「快適さを生み出すため」の共通点(2/3 ページ)
M1とゲーム機で採用される「UMA」構造
もちろんこれだけが秘密ではない。
さらに大きいのは、メインメモリをM1の半導体チップと同じダイの上に混載し、広帯域なバスでつないでいることだ。CPUとGPU、さらには機械学習用のコアである「Neural Engine」は、同じメインメモリを共有する。こうした仕組みを「ユニファイド・メモリ・アーキテクチャ」と(UMA)いう。UMAの特徴は、各コアが同じメモリを参照するため、「データのコピーが不要である」という点だ。
ごくシンプルに説明すると、例えば立体物を表示する場合、まずデータはメインメモリに読み込まれ、さらに表示のためにGPUが使うビデオメモリ(VRAM)へと転送され、その後の処理が行われる。表示するモデルに何か処理をしなければいけない場合、メインメモリにあるデータをCPUがさらに処理し、GPU側に再転送する。
こうしたことがあまり起きないよう、VRAMは大きい方が性能が良く、GPUとCPUをつなぐバスも広帯域である方が良い、とされてきた。
だがそれは、「CPUに対してGPUを別途外付けにする」「メモリは増設できるようスロットを用意する」という前提で設計されているからだ。そうすることで、過去との互換性維持はずっとやりやすくなるし、製品バリエーションも増やせる。
だが、その前提を全て捨てればどうなるだろう?
同一の高速なメモリをCPUとGPUが共有するUMA構造ならそれができる。メモリは増設を前提としないことで、CPU・GPUから非常に近い位置に広帯域なバスで接続しやすくなる。最初からその前提で設計すれば、データ転送などが不要になるので、その分の効率を稼げる。もちろん、UMAはそんなにシンプルなものではなく、処理中にデータが書き換えられた際のCPUとGPUの間での整合性確保など、課題がある。だが、そこにちゃんと手だてを用意していれば、CPU・GPUコアがもつ性能を最大限に生かしやすくなる。
M1はそういう構造である。「メモリが8GBか16GBしかない」「GPUの増設も前提としない」という形に特化することで、効率を突き詰めることができる。一方、拡張性と製品による性能バリエーションを失う。まさに、M1版Macそのものだ。
同じような構造は、主にゲーム専用機で採用されている。例えば、PS5もPS4に続きUMA構造を採用している。ゲーム機は増設の必要がなく、設計もメーカー側がある程度自由に行える。メモリの総量を抑えてコストを下げるにも重要だ。ゲーム機と同じように「全体をメーカーがコントロールする」からこそ、M1版Macはああいう形を採れた、といってもいいだろう。
逆に言えば、M1が「1つの形に特化した」プロセッサであるからこそ、ハイパフォーマンス向けMacをどう作るのか、という点が重要な論点になってくるのだけれど。まあそんなことはAppleも百も承知だろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「うんこ移植」でピーナツアレルギー改善、15人中6人が数粒食べられるように ヒトの実証は初 Science系列誌掲載
-
2
「就活に生成AI利用」ほぼ全員に 面接で内容追及され困惑も
-
3
手術中の大地震、患者守る医療スタッフ……熊本総合病院の動画に反響 「プロの動き」「尊敬」
-
4
防衛装備庁、ITコンサルSHIFTに「AI装備品」の審査支援を委託
-
5
Gmail、他社メアドを送信元にできる機能を廃止へ
-
6
西鉄福岡(天神)駅などで意図しない駅構内放送 第三者が有名YouTuberの音声を不正に流したか
-
7
ドコモ・バイクシェアのシステム障害、いまだ全面復旧ならず 8月1日以降の利用者には「全額返金」へ
-
8
「配信システムをAIで自作したアイドル」こと宮本佳林さん、Cloudflare Workersの開発者イベントに登壇へ
-
9
「ChatGPT」のデフォルトモデル、PlusとProは「Sol」に、無料版は「Luna」でテキストチャット無制限に
-
10
個人開発「家系ラーメンマニア」で利用者急増 対応追いつかず一部停止 「より信頼していただけるアプリに」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR