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金融庁、JPXと東証に業務改善命令 再発防止や責任の所在の明確化など要求 10月のシステム障害で

» 2020年11月30日 16時31分 公開
[樋口隆充ITmedia]

 東京証券取引所(東証)で発生したシステム障害を巡り、金融庁は11月30日、対策が不十分だったとして日本取引所(JPX)と東証に業務改善命令を出した。

photo 金融庁のプレスリリース

 金融庁はシステムの不備を把握していなかったことや、取引再開時のルールが整備されていなかったことを問題視。東証らに対し、再発防止策の迅速な実施や市場開設者としての責任の所在の明確化などを求めた。また、金融庁への定期的な報告も要求している。

 金融庁はこれまで東証に5回の立ち入り検査を行っており、東証は3回の業務改善命令を受けている。このうち2回がシステム障害に関する命令で、それぞれ2005年と12年に処分を受けた。

 金融庁は東証らに対し「18年10月のシステム障害の発生を契機に各種の対応策を講じてきたにもかかわらず、再びシステム障害が発生し、取引開始から取引時間が終了するまでの間、全ての取引が停止に至ったことは、金融商品取引所に対する投資者などの信頼を著しく損なうものだ」とコメントしている。

 東証では10月1日にシステム障害が発生。富士通製の株式売買システム「arrowhead」(アローヘッド)の共有ディスク装置(NAS)1号機でトラブルが発生したが、2号機への自動切り替えが行われず、全株式の売買を終日停止。

 その後の調査の結果、富士通のマニュアルの不備で自動切り替え機能がオフになっていたことや、東証が切り替えのテストを実施していなかったことが判明した。

 これを受け、金融庁は10月2日に東証らに対して報告書の提出を要求。16日の提出後、内容を精査していた。

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